ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

ライフ.アクアティック

2007年07月21日 | 映画


監督は「ウェス.アンダーソン」。
過去、「ザ.ロイヤル.テネンバウムズ」という、テネン
バウムという一家の物語を、面白おかしくブラックに描
いた映画を撮った監督で、才能ある監督としてその時
認識された(個人的に)。
その監督の新作(と言っても2004年)が「ライフ.
アクアティック」。
「水中生活」という意味らしい。

落ち目の海洋ドキュメンタリー作家が主人公で、大分く
たびれた船で世界を巡る。
目的は、幻の巨大鮫「ジャガーシャーク」をフィルムに
納めること。
勿論、映画の中の設定で、実際いるわけではない。
やってることは実在の海洋学者「クストー」のような
ことで、「カリプソ号」で世界の海を渡る、と同じよ
うなことをオンボロ船でやるわけだ。
実際「クストーに捧げる」だか何だったか忘れたが、
そんな意味の表示がエンドロールにあった。

ドキュメンタリー作家が主人公(ビル.マーレー)で
あるが、映画は普通の基準でいう「リアル」な映画で
はない。
むしろ、「映画は作り物である」という事実を前面に
押し出すことを意図したような映画である。
船の内部のセットはむき出し。
つまり、舞台で作る構造をそのまま映画でも使ってい
る。
壁が取り払われて、各部屋が一度に見渡せるような、
断面。
昔、ビルが自動車爆弾で爆破され、外側の壁が全て吹
き飛ばされたことがあったが、たとえが悪いが、あん
な感じだ。
出てくる生物も、実在しないCGの作り物。
海賊との銃撃戦も、どこかおざなり。
全てが嘘っぽい作りになっている。
クルーも、おかしな人間ばかり。
「ウィレム.デフォー」もその一人だが、かなり「変」、
だが、可笑しい。
兎に角、そんな「変」の集合体の物語が、この「ライフ.
アクアティック」なのである。

「映画はリアリズム」であると思う人にとっては、この
映画は全く面白くない。
また「映画は娯楽である」と思う人にとっても同じく
面白くないであろう。
要するに、どちらにしろあまり受けそうにはない映画だ
と思う。
「ザ.ロイヤル.テネンバウムズ」もそうだったのだ
が、笑いに毒があり(それが面白いのだが)過ぎるの
かもしれない。
本質的関係があからさまになることに関しては、多く
の人は盲目だから。
その質はコーエン兄弟の映画に近いかもしれない。
ただ、こういう映画が好きな人は、世の中では「ひね
くれた人々」と言われるであろうこだけは容易に想像
できる。


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