年末から年始にかけて見た映画は、結局この一本だっ
た。
予定だと、五六本だったのだが、いろいろ予期せぬこ
とが起き、こういう結果になってしまったわけだ。
そんな中、何故この「最前線物語」を選んだのかとい
うと、去年後半に、ここ十数年なかった映画館での映
画鑑賞により、イーストウッドの「父親たちの星条旗」
「硫黄島からの手紙」を観てしまってからの、戦争映
画というものの流れの結果なのだ。
「最前線物語」というのは、B級映画の巨匠と言われ
ているサミュエル.フラーの代表作で、リー.マービ
ン主演の戦争映画だ。
名前の通り、最前線(第二次大戦)でのリー.マービ
ン率いる小隊の斥候活動が主に描かれている(ノルマ
ンディー上陸作戦なども)。
この映画の特徴は、戦闘場面の迫力とかリアリティー
とかそういうものではなく、任務を淡々とこなすリー.
マービン演じる一見冷血的な隊長の姿と、それに付い
ていく小隊を非情に追っていくところだ。
つまり、これ見よがしに悲惨さを見せるのではなく、
事実(エピソード)を積み上げて、結果いろんなもの
が見えてくる(見てるほうが想像する)という、他の
フラー作品に共通する、単純に見えてそうではないと
いう映画になっている。
娯楽映画の顔で、実はそれだけではないというのがな
んとも憎い。
今回で四度目の鑑賞なのだが、それにしても、所謂ス
トーリー、覚えてないものだ。
見る度に、「こんな場面あったっけ」が出てくる。
しかし、基本的にストーリーで見ない自分としては、
それも当然だと思う。
重要なのは、何が映ってるかということだから。
つまり、ストーリー(筋)だけで映画を見るというこ
とになると、一回で充分ということになる。
実際、一回で充分という映画の方が圧倒的に多いとい
う事実はあるが、映画はそれだけではないから、人々
を魅了する。
大袈裟に言えば、瞬間瞬間の出会い、か。
だから、その見る時の本人の状態により見方が変わる
のも、それもまた当然だ。
特に、年を隔てて見ると、がらっと評価が変わったり
するものだ。
それは大体、当時見えてなかったものが見える、とい
う新たな発見に起因する。
これも、瞬間の出会いである。
とか何とか、尤もらしい言葉で表現したくなる映画、
実に困ったものでゲス。