手帳なわたし

手帳オタクな私。若い時からその時々の生活のスタイルに合わせて手帳を選び、使い方を工夫してきました。私の今の究極をご紹介。

世の中の現実、色々と〜「2023・主婦日記」の第17週目〜

2023-04-30 | 2023年の主婦日記
(↑ハチがせっせと蜜を集めてます。これを見たらもう少しこのビオラも植えておこうかなと思いますね)









先日読了した『ロストケア』は

現代の老人介護の問題に絡めたミステリー。




これは、

全選考委員が絶賛した日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作です。


概要では、

「現代を生きる誰しもが逃れられないテーマに、

圧倒的リアリティと緻密な構成力で迫る!」

と書かれていて、まさにその通りと思います。

小説としてのレベルは高いです。



数十人の老人を殺した殺人鬼の、

あまりに突拍子もない話ではあっても、

そこに横たわる問題はかなりのリアリティなので、

大きな十字架を背負わされた感じもします。


「介護の問題」、

我が家だったら、

今はまーさんとわたしたち夫婦の問題だけれど、

そこに止まらない。

いずれわたしたち夫婦の問題となり、

息子も絡んだ問題となっていく。

これは家族のつながりがある限り、

誰にとっても無関係ではいられないこと。


だからといって

全くカタルシスも感じず、

ただただ解決が難しい問題に向き合わされた感じ。

ストレスがすごく溜まって終わった。

最後には作者なりのまとめ方にはなっているけれど。


解説部分で、近藤史恵さんという作家が

「社会派本格ミステリは、どこか『鬼子』のような存在である」

と言っているように、

心引き裂かれるものなんだろうと思います。



介護現場の現実、

介護者、被介護者、家族、施設のヘルパーさんたち、

介護ビジネスに関わる人たち、

それぞれの誠意、思惑、苦労などなどが絡み合って、

何とかしたいという思いに突き動かされるけれど、

何もできず、

何も変わらないことを思い知らされ、

ただただ暗澹たる思いに心が支配されてしまうのです。

正直に落ち込みました。


今自分はそこまでの介護地獄にいるわけではないのだけれど、

主人公の検事・大友に突きつけられる

「蚊帳の外に自分を置いてる」という指摘が

自分にも向かってくるからです。


こういう、

読書をして凹んでしまうようなわたしは、

こんな本格社会派ミステリ小説は読むべきものではないのかも。

しっかり受け止められる人が読むべきものなのかもですね。

最近では『蟻の棲み家』というミステリーも同様かな。


今のわたしには荷が重すぎます。


本の中だけでも

現実を逃避したり、

夢を見たり、

ありえない結末でまとまったりでもいいかなあ。

ちょっとそう思ったりもして。


ま、

いろんなジャンルの小説があるわけで、

読む側が、その心持ちで選んでいけばいいのですものね。


ただ言えることは、

こういった問題が現実にあり、

「それにしっかり向き合うことも生きることだ」

と言われているのは確かです。



また一方で、

上京した弟から色々聞いたことも衝撃でした。

今の故郷の現実を知ることとなったのです。


田舎もずいぶん様変わりしてきたこと、

わたしたち世代が最後の砦で、

それより下の人たちは街にますます出て行くようになって、

農業をする若い人たちがいなくなり、

田んぼの維持がなかなか難しくなってきていたり、

実家の後を継ぐ人がおらず、

空き家になって、

墓仕舞いも増えてきていたり、

古家が外から来られた方々に買い取られ、

地縁のない他人が住むようになっていったり。


町村の経済的な課題も大変大きいことも話題に。


故郷なんて変わらずにあるものだと

勝手に決めつけていたわたしには

こちらもショック。


昔に比べて交通の便も良くなり、

ネットや宅配便もあるために、

街とそんなに変わらなくなってきているように思い、

若い人たちにとっても住みやすくなってるのではと

これも勝手に思ってました。


わたしは結婚後、

故郷を離れ、

街の人間関係も緩やかで、

地域としては特に何の問題もない

場所に住み続けてきたので、

そういうさまざまな問題が見えてなかったのですね。

時々帰省する故郷の抱えてる問題の

深いところまではあまり知ろうとしなかった・・・。


実家の田んぼや屋敷、山林を維持している弟の苦労を

改めて知らされて、

ただただ「ありがとう」というしかないかな。


だからと言って

もちろん弟が文句たらたら言ってるわけでもない。

淡々と今の現実を語っただけで、

弟は弟で自分の今をしっかり受け止めている。


介護の問題、故郷の問題、老後の問題などなど、

この1週間は

いろんな面で社会の現実を

もう一度思い知らされた週となりました。




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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (もも)
2023-04-30 06:24:30
こんにちは。気になっていた本です。
新年度で疲労困憊のため、あらすじに、
今じゃないかな、としていました。
まんじゅう顔さまの感想で、
タイミングを考えて読もうかな、と思います。
ありがとうございます。

解説が近藤史恵さんというのも、
ポイントがぐぐっと上がりました。
好きな作家さんの一人です。
返信する
Unknown (なお)
2023-04-30 09:41:48
介護の問題、田舎の問題
どちらも経験している身としては
思う事が沢山あります。
そしてこれから先の自分たちの老後の事を考えると
ネガティブ思考の私は気が重くなるけれど
超ポジティブ思考の夫のおかげで助かっています(笑
結局はなるようにしかならない事ばかりで
そんな中で自分たちの出来ることを日々していくしか
ないんですよね。
ただ介護の事は別で、早めに動くことで
助けてもらうことができると思います。
最初に施設の申し込みに行った時
どこも100人待ちと言われ絶望に近いものを感じました。
でも深刻さを加味して順番が決まるらしく
思っていたより早く声をかけて頂けました。
こういう事ブログには書いていませんが
多分その時の私は限界ギリギリだったと思います。
あのままが続いていたらどうなっていただろう
って考えるとちょっと怖いです(-_-;)
返信する
Unknown (まんじゅう顔)
2023-04-30 17:49:18
ももさん、構成といい、リアリティといい、内容の深みといい、さすがに賞をとっただけある小説だと思いました。よく書けているからこそ、読むものが追い詰められますけどね(笑)。
本では殺人犯と対峙する検事は男性ですが、映画は女性の長澤まさみ。どんなふうに映画化されているのか、興味津々で、何度か見に行こうと思ったのですが、結局勇気が出なかったです。
近藤史恵さん、有名な方なのですね。わたしはその方も知らなかったです。また彼女の本も読んでみたいと思います。解説がなかなか的確だったのです〜。
返信する
Unknown (まんじゅう顔)
2023-04-30 17:59:32
なおさん、街に住むようになったわたしにとっては、田舎は懐かしく、とても贅沢な場所と感じていました。いずれは帰って住みたいと思うところなのですが、弟にその話をしたらむしろ反対をするので、どうしたのかなと思ったのでした。
もちろんどこに住んでいてもさまざまな問題の中にいるのですし、その問題を避けて通れないですよね。それだったらご主人様のように、「ポジティブに考えていく、なるようになると思っていく」ことだろうと思いました。
わたしの亡き父母の時も、施設探しのことは難しいなと思いました。先先を見て、少し早めに動いておくということでしょうね。そして一人で抱え込まないということですね。
なおさんのところも、深刻にならないところで動くことができて、本当によかったです。
返信する
Unknown (pukutaromama)
2023-04-30 22:56:15
なるほど、今現在まーさんのことがあると余計に身近に感じすぎるテーマでしたね。
答え(があるとすれば、ですが)に導くのではなく、あくまで問題提起が前提の作品なのでしょうか。
私も故郷を出てしまった身なので、親のことや実家のこと、墓のことなど(義実家の方も含め)、いずれ考えなければならないと思いつつ、年齢的にも今はまだ…なんて思ってしまいます。
そんなの、順番通りに来るとは限らないのに…🤔
確かに受け止める人が読むのももちろん大切でしょうが、こんなふうにまんじゅう顔さんが受け止めきれずに溢れたものを私達読者が拾うことで、問題提起の余波が広がっていくと思います。このような作品の意義って、きっとそんなところにも在るのだと思います。
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Unknown (まんじゅう顔)
2023-05-01 12:49:03
pukutaromamaさんのおっしゃる通り、そんな作品だと思いました。
この本の最後にある解説を書いておられる作家さんのおっしゃる通りだなと、そこを読んでようやく気持ちの整理をしたまんじゅう顔でした。
いやいや、若い時は「いずれ」という感じですよ。
わたしは学生の頃から実祖母、実母の介護には関わっていましたが、それでもどこか二番手で、緊迫感がなくきてしまいました。この小説は、そういうものにもグインと切り込んできますので、大変強烈です。
最後の行、さすがpukutaromamaさんだなと思いました。本を沢山読んでおられる方だからこその指摘、納得し、励まされました。
返信する
Unknown (もも)
2023-05-04 03:56:14
こんにちは。
まんじゅう顔さまのコメント欄を拝見して、
近藤史恵さんの解説を読みたいがために、
この本は読みたい!と思いました。

近藤史恵さんの作品はさまざまなジャンルの
小説があり、新作も継続的に発表されていますので、
機会がありましたら、ぜひ!
2年前に映像化されたドラマ「シェフは名探偵」も
良かったですよ。(原作のシリーズが好きなのですが、ドラマタイトルだけではノーチェックでして、たまたま観ていて気付きました。)
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Unknown (まんじゅう顔)
2023-05-04 10:47:44
ももさん、近藤さんの本、挑戦してみます!
ロードレースの小説も結構書かれていますよね。
「シェフは名探偵」なら取り掛かりやすいかもですね。ちょっとチェックしてみますね。
ありがとうございます。
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Unknown (もも)
2023-05-04 15:10:25
こんにちは。そう言っていただけると嬉しいです。
ロードレースのシリーズもおすすめです。
競技について、全くわからなかったのが、
少しだけ垣間見たような気持ちになれました。

「シェフは名探偵」はドラマの独自のタイトルです。
(検索してすでにご存知だとは思いますが、念のため補足します。)好きな原作が、また違った魅力倍増となったドラマでした。
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Unknown (まんじゅう顔)
2023-05-04 17:12:53
ももさん、ラジャーです。
「シェフは名探偵」、ドラマで何話か見たことがあるなあと思っていました。あの西嶋さんのですね!
小説の方はこの名前ではないですね〜。
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