どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

<おれ>という獣への鎮魂歌 (46)

2006-07-15 05:48:10 | 連載小説
 ミナコさんは、浴室に消えたようだ。  ひとり取り残されて、おれは横たわっていた。  急速に萎えて、左の太腿に寄りかかった塊を、おれは鼻翼越しに眺めていた。  十分前までは、王侯貴族のように威張っていたのに、いまは使い捨てられたボロ雑巾のように張り付いている。  ミナコさんが、特別の手品を使ったわけではない。これは、オスの身に施された、約束ごとなのだ。  三月にミナコさんが失踪して以来、ずっと持続 . . . 本文を読む
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