どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

ポエム123 『空は青かったですか』

2016-05-29 00:00:18 | ポエム
       ヒロシマ     (ウェブ画像)より      空は何色でしたか 飛行機から見る空は・・・・ 投下して急上昇するとき 空の色は見えましたか  地上から見上げる人々には その空は特別でしたか      原爆投下の朝 抜けるような青空だったと聞きました 空から死神が舞い降り 世界は一変したと表現しました   大統領のスピーチで . . . 本文を読む
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ポエム122 『草夾竹桃の源氏名は』

2016-05-26 00:58:39 | ポエム
       草夾竹桃     (城跡ほっつき歩記)より     あたしゃ昔 「おいらんそう」と呼ばれていたのさ そうだよ あの花魁だよ 吉原の花形 江戸文化の徒花さ 善も悪も呑み込んだ 人間社会の源氏名なんだ   戦後十年が過ぎた頃 売春防止法が施行された 人権無視や女性蔑視 これらが改められたお陰で 花魁草の名も 使われなくなった . . . 本文を読む
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ポエム121 『アガパンサス花の紊乱』

2016-05-19 01:45:26 | ポエム
        アガパンサス     (ホルテイ花の情報)より     梅雨が近づくと わたしの心は乱れる あれもしたい これもやりたい 胸の奥から伸びてくる 紫色の欲望が 空を掴んで 悶えているようだ   見てごらんよ あのアガパンサスを 通りすがりの女たちが わたしを指差す もの欲しげに 色目を使っているんじゃないの 湿った笑い . . . 本文を読む
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小説 『折れたブレード』15 

2016-05-12 04:50:20 | 連載小説
        (双頭の蛇)     師走も押し詰まった頃、調査を依頼しておいた滝口から耳寄りな報告があった。  <年明けに、村上紀久子と電力界の黒幕が金沢の主計町で会う>という情報だった。  経済団体の賀詞交歓会は、例年通り13日頃に行われるらしいが、老人が大手町へ行くことはなく、もっぱら裏街道が似合っていると承知している。  陽のあたる場所よ . . . 本文を読む
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小説 『折れたブレード』14

2016-05-03 00:36:12 | 連載小説
       (アサリの味噌汁)    正孝は、滝口に連絡するつもりが、間違って艶子の電話番号を押していることに気づいた。  どういうことだろうと、自分のとった行動を訝しむ。  選りに選って、なぜ艶子の電話に?  すでに、この世に存在しない女性の持ち物。  警察に押収され、現在どこにあるかもわからないケータイが、意思を持ったかのように呼ぶのだろうか。  正孝は、 . . . 本文を読む
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