ヒロシマ
(ウェブ画像)より
空は何色でしたか 飛行機から見る空は・・・・
投下して急上昇するとき 空の色は見えましたか
地上から見上げる人々には その空は特別でしたか
原爆投下の朝 抜けるような青空だったと聞きました
空から死神が舞い降り 世界は一変したと表現しました
大統領のスピーチで . . . 本文を読む
草夾竹桃
(城跡ほっつき歩記)より
あたしゃ昔 「おいらんそう」と呼ばれていたのさ
そうだよ あの花魁だよ
吉原の花形 江戸文化の徒花さ
善も悪も呑み込んだ 人間社会の源氏名なんだ
戦後十年が過ぎた頃 売春防止法が施行された
人権無視や女性蔑視 これらが改められたお陰で
花魁草の名も 使われなくなった . . . 本文を読む
アガパンサス
(ホルテイ花の情報)より
梅雨が近づくと わたしの心は乱れる
あれもしたい これもやりたい
胸の奥から伸びてくる 紫色の欲望が
空を掴んで 悶えているようだ
見てごらんよ あのアガパンサスを
通りすがりの女たちが わたしを指差す
もの欲しげに 色目を使っているんじゃないの
湿った笑い . . . 本文を読む
(双頭の蛇)
師走も押し詰まった頃、調査を依頼しておいた滝口から耳寄りな報告があった。
<年明けに、村上紀久子と電力界の黒幕が金沢の主計町で会う>という情報だった。
経済団体の賀詞交歓会は、例年通り13日頃に行われるらしいが、老人が大手町へ行くことはなく、もっぱら裏街道が似合っていると承知している。
陽のあたる場所よ . . . 本文を読む
(アサリの味噌汁)
正孝は、滝口に連絡するつもりが、間違って艶子の電話番号を押していることに気づいた。
どういうことだろうと、自分のとった行動を訝しむ。
選りに選って、なぜ艶子の電話に?
すでに、この世に存在しない女性の持ち物。
警察に押収され、現在どこにあるかもわからないケータイが、意思を持ったかのように呼ぶのだろうか。
正孝は、 . . . 本文を読む