(映画『倫敦から来た男』を観て)
出不精なオッチャンが、わざわざ渋谷シアター・イメージフォーラムまで出向いて、最近には珍しいモノクローム映画を鑑賞してきた。
原作が『メグレ警視』シリーズで知られるジョルジュ・シムノンというのも、気を引かれた要因の一つである。
まだこの本を読んではいないが、テレビで観たメグレ警視の人物像から、今回の主人公の性格も極めて文学的だろうと . . . 本文を読む
(樹木葬)
東北地方の寺が、樹木葬の希望者を募集しているというので、慎平は妻と連れ立って秋の行楽がてら見学に行った。
ここ数年で認知されるようになったとはいえ、一般的にはまだ馴染みの薄い埋葬形態であった。
還暦を迎えた頃から、自分の墓所をどうするか、ときどき意識にのぼらせるようになった。
親の庇護から離れた次男と三女の所帯だから、新たな墓地を探さなければな . . . 本文を読む
(溶岩流の爪あと鎌原観音堂)
先月末に北軽井沢から嬬恋地区をドライブした折、鎌原観音堂を訪れた。
ご存知の方も多いと思うが、ここは天明三年の浅間山大噴火によって溶岩流が押し寄せ、階段の一部を残して呑み込まれた場所である。
画像に見える赤い欄干の橋から上が、辛うじて埋没を免れた。
次の画像にある立て札に、当時の様子が詳しく説明されている。
文字が見えないだ . . . 本文を読む
(やもめの水兵さん)
秋が深まった頃、あの男が再びやってきた。
今度は、海辺の町で船乗りの父を待つ少女の室内シーンを撮るのだという。
前回同様、三日後のアパート使用を申し込んできた。
同じ部屋を、一日限りの賃料で契約し、映画のプロデューサーは満足そうに引き上げていった。
家主の老人は、一時中断を余儀なくされた午後のサスペンスドラマに戻り、海辺のシーン . . . 本文を読む
(深大寺元三慈恵大師ご開帳)
本日12月3日をもって、25年に一度(本来は50年に一度)という秘仏のご開帳が終了する。
もともと比叡山の第十八代天台座主であった慈恵(じえ)大師が、正暦二年(991)に深大寺に遷座され、この地で入寂したとのことである。
正月三日に亡くなったことから、通称元三(がんざん)大師と呼ばれ庶民に大変人気があったらしい。
『おみくじ』の創始者と伝 . . . 本文を読む