どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

思い出の短編小説『蝶の見た夢』

2022-08-30 10:30:50 | 短編小説
 サナエちゃんは、いま「リコン」の危機におちいっていた。 学校から帰ってきて、ドアをあけたとたんに、パパがママをなぐるのを見てしまったのだ。「あなた、わたしをなぐったわね。わたしやサナエには絶対に手をあげないって約束したのに、ウソついたのね・・・・」 ママはひざを突いたまま、下からパパをにらんだ。 そしてくるりと振りかえり、サナエちゃんを抱きしめた。「だいじょうぶよ。心配しなくてもだいじょうぶ・・ . . . 本文を読む
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有線放送が流れる

2022-08-29 01:43:13 | 家庭菜園
  まるで、田舎の屋外有線放送の拡声器みたいな、ササユリが咲きました。   こちらは~~学校からのお知らせで~す。 ただいま~子供さんんの~下校の時間と~なりましたぁ~。 保護者の方は~子供さんの~安全を~見守りお願いします~。     朝顔とオクラの花が仲良く並んでいます。     茗荷の林が、風に吹か . . . 本文を読む
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新企画『ととのいました』(7)

2022-08-27 00:07:16 | 謎かけ問答
〇 「エンゼルス球団売却」とかけて 「果物の出荷」とときます   そのこころは 「熟れ(売れ)どきを見計らって決断」するでしょう   〇 「ご船印」とかけて 「サザエさん」とときます   そのこころは どちらにも「船(ふね)の名前」が欠かせません   〇 「ゲリラ豪雨」とかけて 「親戚の借金依頼」とときます   そのこころは どちらも「突然やって来て困惑させる」で . . . 本文を読む
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思い出の短編小説『見返り美猫』(6)最終回

2022-08-25 00:08:33 | 短編小説
 十時過ぎに南軽井沢署に到着し、着く早々、満男は刑事と思われる係官の席に案内された。 「朝香さん、あなた妙義荒船林道というのを知ってますか」開口一番、思いもしない質問をぶつけられた。  その道がどこへ続く道か、満男は地図で調べたことがある。 軽井沢を起点に、八風山、物見山、熊倉峠を経て、荒船山に至る長野県側『妙義荒船林道』が、活気ある描線で記されていた。 他に碓氷山中和美峠を経て松井田に至る群 . . . 本文を読む
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思い出の短編小説『見返り美猫』(5)

2022-08-22 11:10:20 | 短編小説
 人の気配が消えた処置室のベッドに、満男はひとり横たわっていた。 背中合わせの診察室も、いまのところ静かなものだった。当直医も看護師もそれぞれの任務に就いているのだろう。 満男が居るこの部屋は、淡い明かりが点けられたままだった。 入院病棟ではないから、九時の消灯といったアナウンスはない。 あわててカーテンを引きテレビの音を絞るといった、大部屋特有の雑然とした雰囲気もなかった。 点滴の輸液が、せせら . . . 本文を読む
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思い出の短編小説『見返り美猫』(4)

2022-08-20 00:05:30 | 短編小説
 我慢できなくなって、ソファーから立ち上がった。この日二度目の切羽詰った感覚だった。 朝香満男は、そのまま歩き出そうとして不覚にもよろめいた。かなり足元が不確かになっていた。 慣れないカクテルを飲んだせいか、膝から下が麻痺したように力を失っていた。 ビールなら、どれだけ飲んでもこんなもどかしい状態になったことはない。テキーラに限らず、ジンやウオッカをベースにする酒も飲んだから、いつの間にか足腰に来 . . . 本文を読む
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思い出の短編小説『見返り美猫』(3)

2022-08-18 00:02:01 | 短編小説
(でも、なんだか妙だな) ビールを注文する破目になった流れを、自分のせいではなく運命の悪戯に転嫁しようとしていた。 クルマの運転があるから飲むのはまずいなと考えている。その一方で、ビールぐらい何だという気持ちが強くなってきた。 運命といっても、この程度のことならば受けて立とうではないか。 アリバイを疑われた仕返しに、やつらをおちょくってやろうかという反発心が腹の辺りで熱を帯びた。 ビールを七分目ほ . . . 本文を読む
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思い出の短編小説『見返り美猫』(2)

2022-08-16 00:39:22 | 短編小説
 思ったより観念するのが早いやと、万吉は内心ほくそ笑みながら内儀の顔を盗み見た。恐怖と隣り合わせの状況がかえって欲情を高めるのか、最後の嗜みをかいくぐって女の口から熱い息がもれた。 万吉は腕の重みを支えながら、一方の手で着物の裾を割った。どこへ横たえようかと行李や籠で狭められた板張りの床を目で探っていた。 獲物に体を重ねようとしたとき、ぴったりと閉めておいた薬庫の引き戸がカタカタと揺すられ . . . 本文を読む
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思い出の短編小説『見返り美猫』(1)

2022-08-14 00:10:50 | 短編小説
 ある日軽井沢の新興住宅街をクルマで流していると、一段高くなった植え込みの間に色も毛並みも垢抜けた猫がうずくまっているのを見つけた。 高圧洗浄機や高枝バサミなど、郊外生活に必要な商品を揃えて訪問販売する朝香満男は、運転席の窓を下ろして思わず猫に声を掛けた。「いやあ、あんた美人だねえ」 そっと手を伸ばして触ろうとすると、それとなく体をかわしながらも目を細めるようにしてニャーっと応えた。 その猫は、白 . . . 本文を読む
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ポエム329 『アサガオは夏のパラボラ』

2022-08-12 00:02:00 | ポエム
  (ウェブ画像)より    アサガオの花は   夜が明けきらぬうちから  夏空のすべてを受け止めるための  準備をしている    見てごらんよ  無心にひらいた花びらを  まるで宇宙の仕組みを追求する  パラボラアンテナのようじゃないか    なんという中心部の輝き  降り注ぐ太陽エネルギーの一部を  花弁の内側に取り込んだみたいだ . . . 本文を読む
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新企画『ととのいました』(6)

2022-08-10 01:50:00 | 謎かけ問答
〇 「セーリング」とかけて 「本田宗一郎の人生哲学」とときます   そのこころは まずは「得手に帆揚げて」が基本でしょう   〇 「プーチン」とかけて 「トランプ」とときます   そのこころは 両者とも「ウソをつき通して支持者を煽る」でしょう   〇 「物価高」とかけて 「日本の現実」とときます   そのこころは 「米だけが頼り」でしょう     * . . . 本文を読む
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思い出の短編小説『行旅死亡人』

2022-08-08 02:19:38 | 短編小説
 官報を見ていると、私はときどき粗い印刷用紙の中に吸い込まれていくのを感じるときがある。 頬杖をついた掌がうっすらと汗ばむ五月の半ば、誰も居ない事務所で小さな活字の群れに向き合っている。 私は自分に与えられた仕事を逸脱して、知らず知らず紙面の一角に注意を奪われているのだった。 政令や告示といったものがある。 叙位、叙勲といった華やかな字句もゴシック活字で黒々と刻印されている。 だが私の目はそれら多 . . . 本文を読む
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新企画『ととのいました』(5)

2022-08-06 00:21:26 | 謎かけ問答
  〇 「空手(からて)」とかけて 「憲法改正」とときます   そのこころは 「政権(正拳)の悲願も寸止めに終わるでしょう   〇 「きな臭いけどトースター?」とかけて 「テレビだよ」とときます   そのこころは 「いま中国軍が台湾沖へ弾道ミサイルを撃ち込んだところだ」   〇 「高時川(滋賀県)の氾濫」とかけて 「またも北条の出番か」とときます    . . . 本文を読む
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思い出の短編小説『背中のカモメ』

2022-08-04 00:28:09 | 短編小説
 カモメ    (ウェブ画像)より    もう十年も前のことだが、絵面吉男は伊豆半島の突端に近い白浜漁港の釣り宿に四人のグループで二夜滞在したことがある。 その折、近くにある公共の宿のスナックバーにみんなで繰り出したのだが、そこで出会った女主人の面影を突然思い出した。 使わなくなった腕時計や万年筆を放り込んである小引き出しを開けたとき、奥の方にピンク色の造花が張り付いているのを見つ . . . 本文を読む
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茗荷・オクラ・赤カブ

2022-08-02 12:23:18 | 家庭菜園
7月26日、ついにミョウガの花を発見。 茗荷の竹林にもぐり込んで、初物の収穫をする。     続いて、オクラは花がきれいなので、そちらの方を。 黒い点々はアリンコちゃんです。 蜜を出しているんですかね。     アサガオも出たいと言ってますので、もう一度見てやってください。     最後は新顔の赤カブで . . . 本文を読む
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