(手塚治虫の光芒を間近にして)
2015年8月6日、手塚治虫の仕事ぶりをつぶさに見てきた著者が、一冊の本を上梓した、
タイトルの『鉄腕アトムの歌が聞こえる』~手塚治虫とその時代~は、まさにこの本の内容を包括していて、私的な感想を付け加える余地はほとんどない。
冒頭に挿入されている「鉄腕ア . . . 本文を読む
ホトケノザ
(城跡ほっつき歩記)より
田んぼ一面をホトケノザが覆った
鎮守の森の崖下にひろがる谷地の
村人がみなそっぽを向く難儀な深田だ
戦争で強制疎開させられた鉄道マンの父が
ふるさとを頼ってこの深田を借りた
腰まで浸かる場所も厭わず耕した
妻と子供を飢えさせないために
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なでしこ
(季節の花300)より
楢葉町に帰りたい
少女は遠い目をした
でもシンクロを続けたい
澄んだ瞳がキョロキョロと揺れた
少女の名は優花
優花は透きとおった夏の花
なでしこのように親思い
小さな胸で希望と諦めが交錯する
避難してからもう何年たつだろう
魔物を詰めたタンク . . . 本文を読む
ムラサキケマン
(城跡ほっつき歩記)より
ニュルニュルと穴から顔を出すマテ貝のように
海藻とともに揺れるイソギンチャクのように
ムラサキケマンが咲きはじめる
この地球には空と海と陸があるが
空から降ってきた生命のタネを
海が育て陸にもおすそ分けしてきた
海の恩恵をうけた魚や . . . 本文を読む
クレマチス
(城跡ほっつき歩記)より
伊賀の里をクルマで通り過ぎたとき
後部座席でガヤガヤと人の声がする
なんだろうと訝しんで振り返ると
忍者の格好をした若者が数人でお喋りしていた
なんだ君たちは勝手にクルマに乗り込んで・・・・
そのうえ忍者のくせにやたらと騒がしい
観光客相手の忍者ショーから抜け出し . . . 本文を読む
ウマノアシガタ
(城跡ほっつき歩記)より
パッカパッカパッカ
軍馬が教練場を走り抜ける
フィルムに映し出される八十年前の風景
掠れゆく歴史に残された馬のいななき
アオよ いざ行かん
可愛いお前とどこまでも一緒だ
異国の河は飛沫を上げてさえぎるが
補給の使命は命に代えてでも遂げるのだ
& . . . 本文を読む