万平ホテル
北軽井沢へ行くために通過する街、あるいは食料その他を買い物する街だった軽井沢に、わけあって泊まることになった。
貧乏人には敷居が高い旧軽の奥、万平ホテルの初体験である。
折りしもクリスマス、ていうか同行者はこの日を目指してきたらしい。
当方はただお呼びにしたがったまでなのだが・・・・。
控えめなキラキラ
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先般「身の丈に合った」という言葉が話題に上ったが、使い方を誤ると思いもかけない騒動に発展することがある。
その点、ロシア怪談集(沼野充義・編)の和訳は、しろうと判断でも的確な指示力を持っているように思われる。
曖昧さや不確かさが排除され、作者が描こうとするものが、たしかな存在感を伴って伝わってくる。
数多くの短編小説の中から、ゴーゴリ作・小平武訳『ヴィイ』 . . . 本文を読む
ニワナズナ
(城跡ほっつき歩記)より
何気なく生きて なにげなく咲く
初夏から夏へかけての旺盛なみどりの中でも
肩ひじ張らずに咲きとおすニワナズナ
道行く人びとの目に留まらなくても
受け継いだ命を野にひろげる
それが自然な生き方と心得ているから
バラや胡蝶蘭のように派手な花たちはそれでいい
節目節目 . . . 本文を読む
ポツン
男の子が一人
クスノキを見上げている
ポツン
クスノキの上には夏を運ぶ雲
青い空がお絵かきのお手伝い
ポツン
いじめっ子は教室の中
いじめないといじめられる孤独
ポツン
男の子は夏の雲に微笑む
もうすぐ移住する南の島を思い描く
ポツン
男の子の頭の中はキャンバ . . . 本文を読む
ミズ
(植物図鑑)参照
あれ これミズじゃないですか
郵便屋さんが素っ頓狂な声をあげた
手に持った封書をぼくに渡した後
振り返って目の前の野草に屈みこんだ
一枚ちぎってもいいですか
どうぞの声にすかさず手を伸ばした
茎の部分から折った野草の葉を指で揉んで
やっぱりミズだと嬉しそうにぼくを見る
一 . . . 本文を読む