猫は偉大である
猫は死期を悟ると、いつの間にか姿を消す。
子供のころ飼っていたブチもそうだったし、人から聞く話でもやはり行方をくらましたまま探し当てるのは大変難しいようだ。
衣食住のすべてを世話になりながら、恩恵をこうむった飼い主には挨拶なしである。それどころか愛情まで独占していながら、なんら見返りなしにバイバイするのである。
わたしの最も好きな作家内田百は、「ノラ . . . 本文を読む
都会の猫と田舎の猫
いつだったか、吉祥寺に近い『むらさき橋通り』の信号が青になるのを待って、猫が悠然と道路を渡っていくのを見たことがある。
敏捷に走り抜けたわけでなく、人間が歩くような速度で通り過ぎて行く。
こちらは赤信号で止まっているクルマの中だから、シャムの雑種と思われる黒猫が明らかに信号機のシステムを理解し信頼しているとしか思えなかった。
昔は、クルマに轢かれた猫の . . . 本文を読む