夏休みに入ると、19号棟まえの芝生は朝から子どもたちに占領され、ひと夏、野球場と化した観があった。 たえまなく喚声があがり、ときおり少年とは思えない野蛮な声がベランダ側の窓を震わせた。 流産から間のない律子にとって、子どもたちの声はつらくひびいた。 たまりかねて何度か注意したことがあったが、近所の目もはばかられて、あとは騒ぐにまかせるかたちとなっていた。 戸外の声は、暑さとともに音量を増した。だ . . . 本文を読む
〇 「新井恵理那」とかけて 「正月の雑煮」とときます
そのこころは ニュースもバラエティーも「おいしいところ(出汁)を掛け持ち(餅)するでしょう」
〇 「石川さゆり」とかけて 「わんぱく小僧に虐められる弱虫」とときます
そのこころは 「泣き節(虫)の目の前に冬景色が広がる」でしょう
〇 「プーチン」とかけて 「油断すると手遅れ」とときます
その . . . 本文を読む
静かな庭が広がっていた。 一面の芝生に、月光が降り注いでいた。 正孝は、蚊帳の中から外を透かし見た。 もうすぐ、彼のいる離れに艶子が忍んで来るはずだった。 京都の夏は暑い。 承知で秘書と出かけてきたのは、自然エネルギーの有効利用に関するシンポジウムが、二日間にわたって開かれたからだ。 この夜は、艶子とともに学会の疲れを癒すつもりだった。 めぼしい発表を分類整理したあと、夜をこの老舗旅館で過ごすこ . . . 本文を読む
どこかに笑顔が落ちていないかな
拾い屋のゲンさんは地面を見回す
タバコの吸い殻がたくさん落ちていた時代は去り
今はバス停の辺りにチラホラ
かがんで拾うのは街の美化のため
誰に頼まれたわけでもない単なるボランティア
ここまで生きてきて社会への恩返し
求めるのは街角に転がっている笑顔だけ
先月はとびきりの笑顔に出会ったなあ
ゲンさんは思わず思い出し笑い . . . 本文を読む
恵理子が異変に気付いたのは、停めておいた自転車をマンションの二階の窓から眺めたときだった。 前カゴを覆っている防犯カバーから白いビニールシートがはみ出し、前輪の真下に何やら黒い塊が落ちているのを発見したのだ。 (あら、何かしら?) あわてて階段を下り、マンションの通用口を出てそのまま自転車に向かって歩いて行くと、しだいに事の次第がはっきりしてきた。 午前中に近くのスーパーマーケットで買い物を済ま . . . 本文を読む
〇 「石原良純の天気予報」とかけて 「そば粉をケチった蕎麦」とときます
そのこころは 「エーエーとつなぎが多くて」旨く味わえません
〇 「旧統一教会報道」とかけて 「曲げわっぱ」とときます
そのこころは 「さすがに飽きた〈秋田〉」らしい
〇 「ちむどんどん」とかけて 「初心者の水泳」とときます
そのこころは 「アップアップしながら岸までたどり着 . . . 本文を読む
母が前触れもなく家出した日、一人娘の夏子が札幌の病院で無事に女児を出産した。
五月の連休を利用して妻と共に臨月の夏子を見舞ったあと、私は休みの最後の日に新千歳空港から東京に戻っていた。
しばらく札幌に残って娘の面倒をみることになった妻が、予想外の冷え込みで冬物のセーターを送ってほしいなどと言ってよこしてから、三日目のことだった。
家には八十歳を過ぎた私の母が居る。
軽度の白内障と不 . . . 本文を読む
とうとう来たか
冬だもの
笑うしかないね
ゲゲゲ 来たろう?
ダジャレっぽいな
誰じゃ?
頭の中どうなってるの
スカスカ
温暖化は止められる?
ムリムリ
トリプル発生だぞ
タイフーン?
感心してる場合じゃない
かどわかされた
歴彦と書いて何と読む
読みたくない
ウクライナどうなった?
ハルキウ奪還
. . . 本文を読む
ぼくが小学校からの帰りに回り道すると、坂の途中にある写真館の窓から老人が外を見ていた。隣には空き地を隔てて蔦の絡んだ洋館があり、もう二十年以上も空き家になっているとの話だった。
ぼくは白金台にある小学校の二年生で、毎朝母の運転する車で送ってもらっていた。 別に親が過保護にしているのではなく、母ひとり子ひとりの家庭では、その段取りが一番生活ペースに合っていたから . . . 本文を読む
〇 「エリザベス女王の功績」とかけて 「議員宿舎」とときます
そのこころは 「英国民の大半は感謝」し「日本人の大半は官舎かァ」とそっぽを向くでしょう
〇 「MVPは大谷かジャッジか」とかけて 「猛暑の夏」とときます
そのこころは 「評価(氷菓)も割れる」でしょう
〇 「JR北海道」とかけて 「古屋のリフォーム」とときます
そのこころは 「廃線( . . . 本文を読む
父の命日に、その男は突然やってきた。 もっと正確にいえば、ぼくが部屋に入るより前にその男は侵入していたのだ。 外は雪だった。 東京には珍しい積雪量で、ぼくは混雑する電車を諦めハイヤ―を頼んで勤め先から帰ってきたのだった。 マンションの一階にある2LDKがぼくの住まいだ。 ロックを解除して中に入ると、誰もいないはずのリビングルームのソファにその男は坐っていた。 ぼくは窓から差し込む雪明かりを受けて . . . 本文を読む
〇 「天皇の稲刈り」とかけて 「藤井聡太5冠の将棋」とときます
そのこころは 「手にする鎌も駒も、よく切れる」でしょう
〇 「五輪絡みの贈収賄」とかけて 「タカ・トシ漫才」とときます
そのこころは 「AOKI」も「KADOKAWA」も社名が「欧米か?」
〇 「イチローの殿堂入り」とかけて 「未解決の難事件」とときます
そのこころは 「どちらも名 . . . 本文を読む
所沢方面から国道30号線を通り抜けた先に、レトロな家が軒を連ねる街がある。 埼玉県比企郡小川町、和紙で有名な町だ。 自動車がやっとすれ違える程度の橋を渡り、突き当りを左折したところに<女郎うなぎ>と看板を掲げた木造の店がある。 片側一車線程度の狭い道だが、国道254号の表示もあるから、この通りが旧川越街道だったらしい。 古びた味わいを持つこの店は、街道に面して栄えた割烹旅館『福助』が前身で、現在 . . . 本文を読む
役所での用事がすんだあと、鎌倉から江ノ電に乗って藤沢まで出ることにした。
天気もいいし海を見ながら行楽気分に浸るのも悪くないなと思ったのだが、思いのほか駅の数が多いのに驚いた。
〈江の島が見える=車窓から横着撮影〉
〈この島みたいなものは何だったかな〉
路線図を見ると、鎌倉から藤沢までは14駅あって、34分もかかるんだ。
レジャ . . . 本文を読む
〇 「台風11号」とかけて 「禅寺の高僧」とときます
そのこころは 「まもなく迷走(瞑想)をはじめる」でしょう
〇 「ソーシャル・ディスタンス」とかけて 「ママ友」とときます
そのこころは 「近すぎるのは危険」でしょう
〇 「お腹を空かした猫」とかけて 「名古屋弁」とときます
そのこころは 「ミャーミャーうるさい」でしょう . . . 本文を読む