『春が団体でやってきた』
三月も残りわずかとなった27日、本格的な春の到来を思わせる陽気に誘われて、家の近くを散策してみた。
何度も何度も咲きかけては「待った」を掛けられていた花々が、もう我慢ならんといっせいに花弁をひらく。
いつもの年とちがって、われもわれもという感じで実ににぎやかな春となった。
とりあえず十日ほど前から先鞭をつけていた白梅に敬意を表 . . . 本文を読む
雪の雑木林
「誓いの館」
透明な氷のかけらで築いた
誓いの館は
いつも密かに体温をとじこめている
初夏の喫茶室の片隅から
あるかなきかの冷気が立ち昇るように
館の内部から
ひとすじの陽炎が躍り出ると
不意をつかれたあなたは
もう絶え間ない雪崩の岩壁を
想い浮かべてしまうのだ
あなた一片の氷に
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(すきま風) 周平が商店街の歩道を歩いていると、車道を挟んだ向かい側のパチンコ店の前から軽快なテンポの音楽が流れてきた。 (おっ、チンドン屋だ) 思わず足を止めた。 物珍しさというより、懐かしさが鼻の奥を刺激した。 ここ数年、チンドンが練り歩く姿を見かけることがなかった。 全国のチンドンマンが富山市に集まってコンテストをやったというニュースを、テレビの画面で見たのは五年も前のことだ。 そ . . . 本文を読む
「久しぶりに見るチンドン屋さん」
チンドン屋さん
景気が低迷して実に久しい。
ちょっと中心を外れると、たいがいシャッター商店街がつづいている。
こうなったきっかけは、「新大店法」とかいう法律が施行され、スーパーマーケットやアウトレットが実質的規制緩和のもとで一気に増えたからに違いない。
大量仕入れに大量販売、庶民にとっては品物が安価に手に . . . 本文を読む