どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

紙上『大喜利』(7)

2023-01-30 00:04:45 | 大喜利
〇 「さいたま市見沼区で縄文時代の丸木舟を発掘する映像が出てきたらしいな」「へえご隠居、考古学にも興味あったんですか」   〇 「奈良の富雄丸山古墳からは鏡と長剣が出てきたしな」「ご隠居、ますます嬉しそうですね」   〇 「今日は古墳デーじゃないのか、一緒に祝おう!」「ご隠居、帰りますよ。では、さい奈良」 . . . 本文を読む
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思い出の短編小説『自販機に敬礼』

2023-01-28 00:01:57 | 短編小説
 大正時代から酒屋をやってきた升喜屋の前を、養護施設の生徒たちが毎朝通って行く。 五十メートルほど離れた通りの先に、パン工場を兼ねた養護施設があるのだ。 幸恵は毎朝九時に、宅配便の取扱いを知らせる立て看板を出す。 店先にはかなり広いスペースがあって、酒類をはじめお茶やコーラなどを扱う自動販売機が三台並んでいる。 店内にも商品は置いてあるが、通りがかりの客はほとんど自動販売機で目当ての飲料水を買い求 . . . 本文を読む
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新企画『ととのいました』(22)

2023-01-26 00:02:17 | 謎かけ問答
〇 「民主主義に無関心の国民」とかけて 「ワクチン接種を怠る犬の飼い主」とときます   そのこころは「やがて強権(狂犬)に噛まれる」でしょう   〇 「徴用工問題解決なるか」とかけて 「困ったルイ・アームストロング」とときます   そのこころは 日韓の立場の違いで「にっちもサッチモ」行かないでしょう   〇 「大雪で立ち往生」とかけて 「即身仏」とときます   そ . . . 本文を読む
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思い出の短編小説『合図者』

2023-01-24 00:46:12 | 短編小説
 秋本早苗は、マンション4階の窓から隣の工事現場を見下ろしていた。 半年前までは広々とした空き地だったところに、次々と建築用の重機や資材が運び込まれていた。 早苗は通販会社の電話オペレーターとして勤務していたから、昼間の進捗状況を逐一見ていたわけではない。 また、夜間には工事現場全体が丈の高いボードで囲われていたから、地上からの視点で眺めたということもない。 ところがこの日、早苗は風邪をひいて会社 . . . 本文を読む
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紙上『大喜利』(6)

2023-01-22 00:26:38 | 大喜利
〇 「アニサキスは兄弟らしいな」「ご隠居、またダジャレですか」   〇 「関東の連続強盗事件は怖いな」「ご隠居を襲っても金目のものは金切り声だけですけどね」   〇 「また値上げか どうする家康?」「ご隠居、はやりの言葉を使ってみたいんでしょう」 . . . 本文を読む
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思い出の短編小説『馬なり』

2023-01-20 01:25:00 | 短編小説
 納富竹次郎は、工作機械メーカーに三十五年勤め、定年を五年残して退職した。  その一年前に女房を乳がんで亡くしている。   彼が会社を辞めたのは、意気消沈してやる気を失くしたのではないかと噂された。   だが、実は竹次郎は一時期やもめ暮らしを喜んでいた。  独り身が現実のものとなって、憧れの生活を手に入れることができたとほくそ笑んでいたのだ。  口うるさい女房 . . . 本文を読む
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紙上『大喜利』(5)

2023-01-18 13:48:00 | 大喜利
〇 「オミクロンも型落ちしたな」「は? さてはご隠居テレビでも買い替える魂胆ですね」   〇 「石川さゆりは冬景色だが伊藤美誠は春景色だな」「ご隠居何をごっちゃにしてるんですか、石川佳純が怒りますよ」   〇 「高嶋ちさ子が出ずっぱりだな」「ザワつくに怖いお父さんまで引っ張り出して、テレ朝も必死ですから」 . . . 本文を読む
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思い出の短編小説『攫う』

2023-01-17 00:08:57 | 短編小説
 貞夫は目覚めの不確かな感覚の中で、それを見た。  夜をしっかりと眠ったあとだったのか、それとも中途半端な昼寝の途中だったのか判然としないが、目覚めたその目でありありと見てしまったのだ。  場所は黒姫に近い山里の萱葺の家だった。  仰向けに目覚めた視線の先に、煤けた構造物がむき出しになっていた。  木の骨組みの上に、夥しい量の萱が編みこまれている。  貞夫にとっては見慣れた風景で、目覚め . . . 本文を読む
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ポエム339 『誤変換』

2023-01-15 01:04:07 | ポエム
近ごろ誤変換が多くて参っている 多くはこちらのうっかりミスだが 物覚えの悪いパソコンの怠惰な態度にも原因がある もう5年も付き合う仲だろうオレに慣れろや   例えば「百舌の贄」など類似語がなければ間違わない 褒めた途端に「なければ」を「泣ければ」には泣かされる どうして普段使う言葉を誤変換するのだい 単純に前の使用例をなぞるのはやめてくれ   こんなことだと . . . 本文を読む
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思い出の短編小説『花子塚』

2023-01-13 02:22:22 | 短編小説
 <霊山筑波の麓に立ちこめた霞の奥から、西へ西へと稲田の間を流れて、ついに利根川にながれこんでしまう一筋の小川がある。この小川の利根への落ち口からかなり離れたところに、危なそうな土橋が架かっている。この土橋の袂に一つの塚がある。「花子塚」という。塚の裾はきれいな小川に洗われている。>  ここまで読んだ時、三郎は頭の一角でカチッと音がして8ミリ映画のフィルムが回りだすのを感じた。  常陸の伝説を . . . 本文を読む
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紙上『大喜利』(4)

2023-01-11 00:00:00 | 大喜利
〇 「ほんとに行動制限ナシでいいんだな?」「ご隠居はダメです。おかねを手にするとどこへ行くかわからないから」   〇 「宇宙でも日米安保か」「ご隠居、日本はついに米国のサテライト(衛星)化したようですよ」   〇 「ワールドサッカー後は三苫の株がうなぎ上りだな?」「ご隠居の株は落ち鮎みたいですけどね」 . . . 本文を読む
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思い出の短編小説『定食屋の女』 Ⅱ

2023-01-09 00:56:01 | 短編小説
 漆畑は、朝からそわそわしていた。  多歌子が出勤する前に、入口の自動ドアの具合を確かめたり、靴拭きマットの位置を直したり落ち着かなかった。  表に出てみると、太陽は東から南に回ろうとしていた。  御代田の街も、上信越道が走るあたりも、光のさざ波に覆われていた。  近頃はますます家並が増えて浅間の裾野を遮っていたが、追分から道の駅「雷電」にかけて続く樹林の帯が、そこから上の山の領域を神々し . . . 本文を読む
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思い出の短編小説『定食屋の女』 1

2023-01-07 00:04:10 | 短編小説
 多歌子が面接に現れたのは、昼の客が一段落した午後三時半ごろのことだった。  それまで配膳を手伝っていた町内の小母さんが、突如体調を崩して辞めることになったため、ハローワークに求人依頼をして間もなくのことだった。  しばらくの間、弟夫婦と三人で「味楽」を切り盛りしていかなければなるまいと覚悟していた矢先のことなので、面接希望者が現れたのは店主の漆畑にとっても予想外のことだった。 「うちのこと . . . 本文を読む
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紙上『大喜利』(3)

2023-01-05 00:03:50 | 大喜利
〇 「クリスティアーノ・ロナウドがサウジのアルナスルに高額移籍したらしいな」「ヘイ、ご隠居、(ボル)トガルですから」   〇 「クリスチャンからアッラー・ロナウドに宗旨替えしたってわけか」「そりゃご隠居の邪推でしょ」   〇 「マネーにあかせてモドリッチやメッシも狙ってるんだろ?」「そうなっても(リッチ)になってすぐ(モド)りますよ。メッシは飯に困ってないから抜かれない . . . 本文を読む
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思い出の短編小説『エア・ギター』

2023-01-03 01:01:47 | 短編小説
 <風向き党>の党首になって一年が過ぎた又俣イカルは、思いがけない女性スキャンダルに巻き込まれて窮地に陥っていた。 ヒラ党員時代から辛抱に辛抱を重ね、やっと手中にした首領の座を、こんなくだらないことで手放すなどあってはならないと大慌てをしていた。 以前にも献金問題でミスを犯し、カミさんから「脇が甘い」と叱られたことがあったが、今回のことはその時以上のダメージだった。 カミさんにも隠し通していた下半 . . . 本文を読む
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