どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

単発短編小説 『夢を見た』2

2025-01-24 03:16:00 | 短編小説

みなさんは日本のまいまい井戸をご存じだろうか。

地面をカタツムリのように左巻きに降りて行って、地底にある井戸から天秤棒に下げた桶で水をくみ上げていた地方があった。

つまり本来の地面の位置には水が出ないので、かなり深い場所の湧き水とか突き抜き井戸の水を天秤棒と二つの桶で担ぎ上げていたのである。

 

ところ変わってどうやらアメリカ合衆国の似たような場所に僕のクルマは止まっていた。

僕のいる場所からはらせん状に巻いた谷のようなところを急行列車が通過する踏切がある。

対岸へ渡るにはその踏切を渡るしかないので、車は我先に踏切めがけて降りていく。

その中に何と防弾仕様の大型車が混じっていて、どうやらトランプ大統領が乗っているのではないかと興奮した。

 

以下は夢の中の話だから承知しておいてほしい。

とにかく一台の大型車が大慌てで戻ってきた。

さっき僕が見送ったばかりの大型車だ。

踏切は開いていたのでスムーズにこちら側の州に帰れたのだろう。

不思議なことに窓が閉まっているのに車中の会話が漏れてくる。

「大変だ、イーロン・マスクがやられた」

僕のクルマには無線機などついていないのになぜかそう聞こえた。

僕は現在地にいるとヤバいと思ってほうほうの態で自宅にに逃げ帰った。

 

この夢の素〈もと〉には昨夜見たニュースでイーロン・マスク氏がトランプ大統領の方針に異を唱えたとあったことがあるのかもしれない。

これは先にソフトバンクグループの孫正義氏がアメリカのAI開発のために巨額の投資をして何万人もの雇用を生み出すと約束したことが伏線にある。

孫正義氏も政商、イーロン・マスク氏も政商。

日本の時代劇なら「おぬしもワルよのう」というやつだ。

 

夢に戻る。

何が起こったのか。

テレビを点けたが何もやっていない。

奇怪な夢だったなあと胸をなでおろしながら再び眠りについた。

 

 〈おわり〉

 

 

 

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