神も仏もあるものか。神があるならもう少しマシな人生をよこしそうなものだし、仏があるなら一片の情けをかけてくれたっていいじゃないかというのが、その朝三上慎介が抱いた最初の感想であった。
もっとも、彼はまだ完全に目覚めたわけではなくて、妻の声に頭をガンと叩かれたきり、瞼のバネが壊れて開かなくなった状態に置かれていて、きのうといいけさといい、まったく何を手がかりに生きたらいいのかと、半ば自棄気味に . . . 本文を読む
水仙
(城跡ほっつき歩記)より
日当たりのいい庭に水仙が咲いた
今年も存分に楽しませてくれそうだ
スイセンの容姿は文句なく美しい
天気予報士のあのお姉さんにひけを取らない
おっと誰かを連想したでしょう
思い浮かべた人があなたの好みなんですよ
変なひっかけは . . . 本文を読む
リス
(ウェブ無料画像)より
ひっきりなしに食べて
ひっきりなしに繁殖する
可愛いと言われているうちはいいが
おまえらそろそろ限界だぞ
鎌倉では人間に慣れすぎて
恐れを忘れてしまったようだが
いくら観光地だといっても
いずれ規制されるに . . . 本文を読む
天城紅空木
(城跡ほっつき歩記)より
湯ヶ島の温泉宿に泊まり
しし鍋をつついたのはいつだったろう
川端康成にあこがれて
踊り子の舞台に立ってみたかったのだ
天城ベニウツギよ
いまもそこにいますか
踊り子の少女のように
伏し目がちに俯いていま . . . 本文を読む
琉球馬酔木
(城跡ほっつき歩記)より
王朝の姫は何処にいらっしゃいますか
髪飾りをお忘れになられたので探しているのです
南国の日差しを受けて繁る緑葉の枝に
純白の花房を掛けたまま立ち去られたのでしょうか
もしや南の国から漂着したミクロネシアの船乗りに
. . . 本文を読む