アカバナユウゲショウ
(城跡ほっつき歩記)より
松井須磨子の墓に連れて行ってあげますよ
ぼくを松代に呼んだ友人が言った
東京の職場が意に沿わなくて
故郷の家に帰った男だ
ぼくとは妙に気が合って
年に一度は泊りがけの旅行をしたものだ
奔放に生きた松井須磨子は
日本で初めての歌う女優だ . . . 本文を読む
『興ざめの大相撲』
スポーツ報知より
大阪場所もいよいよ千秋楽を迎えようとしている。
野球賭博や八百長疑惑で存亡の危機に陥った大相撲も、白鵬はじめ力士や関係者の努力でなんとか持ち直し、今場所はかなりの日数満員御礼が出るようになった。
相撲ファンのおっちゃんとしては、連日テレビの前で遠藤だ . . . 本文を読む
<霊山筑波の麓に立ちこめた霞の奥から、西へ西へと稲田の間を流れて、ついに利根川にながれこんでしまう一筋の小川がある。この小川の利根への落ち口からかなり離れたところに、危なそうな土橋が架かっている。この土橋の袂に一つの塚がある。「花子塚」という。塚の裾はきれいな小川に洗われている。>
ここまで読んだ時、三郎は頭の一角でカチッと音がして8ミリ映画のフィルムが回りだすのを感じた。
. . . 本文を読む
アメジストセージ
(城跡ほっつき歩記)より
地中から掘り出された紫水晶を
志乃さんは欲しくありませんか
そう 磨かれたアメジストのことです
世界一の産地から運ばれた 真実の愛の象徴を・・・・
ぼくのふる里は雪の下 弱いひかりに導かれて
外につながっているのです
兄も姉も自分の運命に戦き 自らひか . . . 本文を読む
(長谷良子短編集『朝会うあの場所で』を読む)
<逝去の直前に珠玉の9篇を編む>
同人雑誌『凱』の仲間だった長谷良子さんが、本年1月27日に逝去された。
知らせとともに、標記の短編集が送られてきた。
<あとがき>の日付が一か月前の昨年12月になっているので、少し前から何かを予感し作品のまとめに入っていた . . . 本文を読む