どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

ポエム66 『野萱草のつぶやき』

2014-10-27 00:19:53 | ポエム
      ノカンゾー     (城跡ほっつき歩記)より       カンゾー先生 ちょっと往診お願いできませんか 草むらから ノカンゾーの花が声をかけた このところ体調をくずして 何もしたくないの もしかしたら 肝臓が悪いんじゃないかと思って   先生 わたしの顔をよく見てよ なんとなく顔色が悪いでしょう 陽のあたる場所に置いてもら . . . 本文を読む
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ポエム65 『紫蘭ほっほう』

2014-10-21 00:57:11 | ポエム
       紫蘭     (城跡ほっつき歩記)より      リバー電器の社長は 回転椅子の上でアグラをかき ぼくを下目づかいに眺めて ほっほうと笑った   わしはこれから日本橋のデパートへ行き 春蘭の展示会を観てくる その間に小尾さんから電話があったら 頼んだ抵抗器の納期を確かめておいてくれ   シュンラ . . . 本文を読む
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ポエム64 『月と太陽の物語』

2014-10-14 03:44:00 | ポエム
            皆既月食からの甦り(2014年10月8日20時頃)      むかしむかし南の島では 真昼間なのに空が急に暗くなり 腰蓑をつけた部族の民が大慌てした   椰子の葉の小屋にこもった呪術師は 島を造った暗黒の神がよみがえり この世の光を食ったのだと託宣した   太陽を返してほしい 部族の民は呪術師の前にひれ伏し . . . 本文を読む
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(超短編シリーズ)105 『馬なり』

2014-10-08 01:48:05 | 短編小説
    納富竹次郎は、工作機械メーカーに三十五年勤め、定年を五年残して退職した。  その一年前に女房を乳がんで亡くしている。   彼が会社を辞めたのは、意気消沈してやる気を失くしたのではないかと噂された。   だが、実は竹次郎は一時期やもめ暮らしを喜んでいた。  独り身が現実のものとなって、憧れの生活を手に入れることができたとほくそ笑んでいたのだ。 . . . 本文を読む
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どうぶつ・ティータイム(180) 『映画マザーの恐怖』

2014-10-01 11:25:16 | 映画
           (映画マザー メイキング映像)より     画面は冒頭、林に囲まれた白い中層ビルと上空を舞うカラスの群れを映し出す。 つづいて片岡愛之助演じる楳図かずおが、病院のベッドで今しも息をひきとろうとする母イチエ(真行寺君枝)を看取る場面に変わる。 「お母さん どうぞ僕をあなたの好きなようにしてください」 映画マザーの重層的なモチーフを貫 . . . 本文を読む
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