どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

ポエム126 『消えた自転車』

2016-06-25 01:10:41 | ポエム
        自転車        リサイクル店から出てくると 軒下に置いておいた自転車がない 店をひとまわりしてみたが どこにもない   さては市の条例違反で持っていかれたか 去年駅前の歩道に止めておいたときは 遠くまで足を運んで3000円の罰金を払わされた しまった また失敗したか   その場で途方にくれていると ガラガラとシャッタ . . . 本文を読む
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ポエム125 『過去から来た電車』

2016-06-20 01:24:16 | ポエム
       山手線ウグイス色の車体     「あの頃ナウ」(ミドル・エッジ)より     図書館を出て 高架線沿いの道を歩いていると 黄色に色づいたプラタナスの葉が ハラハラと肩に降りかかった ああ こんなに秋は深まっていたのか 都会にありながら 繊細さを忘れない植物に溜め息を漏らした   ガタンガタンと音がして  電車が近づ . . . 本文を読む
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ポエム124 『ビヨウヤナギは天女の舞』

2016-06-13 00:33:46 | ポエム
       未央柳(ビヨウヤナギ)     (季節の花300)より     未央柳の咲く頃は 真昼の月が死ぬる時 梅雨の晴れ間に漕ぎいでて 天道様をさがす日々 五つの羽根を打ち振りて 黄金の蝶が風に乗る 午睡の夢に現れし シルクロードの天女の舞   ビヨウヤナギの雄しべを見てごらんよ 褥となる花弁より 勢い余るほど長いんだぜ 雌しべ . . . 本文を読む
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(超短編シリーズ)116 『夢遊病者の治癒歴』

2016-06-06 01:44:17 | 短編小説
    俊介が夢遊病者であることは、彼自身承知していた。  七歳の夏、田舎の縁側から庭先に向かって放尿するつもりで、廊下の突き当たりの壁にひっかけていた。  すぐに夢を見ていたことに気づいたのだが、おねしょではなく寝床を抜け出しての行為なので少し不安を覚えた。  それでも、庭に向かって思いっきり放尿したと思い込んでいたときの快感は忘れられない。  それ以来、夢の中の行 . . . 本文を読む
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