石垣りん
〈ウェブ無料画像〉より
くらし
食わずには生きてゆけない。
メシを
野菜を
肉を
空気を
光を
水を
親を
きょうだいを
師を
金もこころも
食わずには生きてこれなかった。
ふくれた腹をかかえ
口をぬぐえば
台所に散らばっている
にんじんのしっぽ
鳥の骨
父のはらわた
四十の日暮れ
私の目にはじめてあふれる獣の . . . 本文を読む
草野心平
〈写真はウィキぺデイア〉より
草野心平といえば「蛙の詩人」で知られている。
オノマトベ〈擬音〉という技法でカエル語を表現したり蛙を詠んだ詩が多いからだろう。
しかし、本人はそう呼ばれることに満足していたわけではなく、「僕は蛙をそんなに愛していない」と抵抗感を示すこともあった。
草野心平は他に「富士山」「天」などの対象物、語句が好きで、しばし . . . 本文を読む
中原中也
〈写真はウィキぺデイア〉より
中原中也の「汚れちまった悲しみに・・」も知らない人がいないぐらい有名である。
一部分だけが印象付けられているが、せっかくだから全文を読んでみたい。
汚れつちまつた悲しみに……
〈青空文庫からコピー〉
汚れつちまつた悲しみに今日も小雪の降りかかる汚れつちまつた悲しみに今日 . . . 本文を読む
田村隆一
〈写真はウィキぺデイア〉より
前2回と比べると少し長めの作品だが田村隆一詩集の中でもよく知られた『四千の日と夜』から取り上げる。
『四千の日と夜』
一篇の詩が生れるためには、われわれは殺さなければならない多くのものを殺さなければならない多くの愛するものを射殺し、暗殺し、毒殺するのだ見よ、四千の日と夜の空から一羽の小鳥のふるえる舌がほしいばかりに、四千の夜と四 . . . 本文を読む
三好達治
〈写真はウィキぺデイア〉より
<太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。
次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。>
三好達治の「雪」という題名の作品から取り上げた。
教科書にも載っていたから思い出していただけたと思う。
この詩を読むと、雪がしんしんと降り積もっている光景が目に浮かぶ。
作者は二階の窓からでも見ているのだろ . . . 本文を読む
安西冬衛
〈写真はウィキぺデイア〉より
<てふてふが一匹韃靼海峡を渡って行った>
有名すぎるほど有名な一行詩だから、ご存じの方も多いのではないだろうか。
安西冬衛の「春」という題名の詩である。
こんな詩を書けたらなあ と、折に触れて思い出す作品の一つだ。
因みに韃靼〈だったん〉海峡とは間宮海峡のことで、日本とロシアのサハリンの間に横たわ . . . 本文を読む