花粉の魔境
今年は花粉の飛散量が昨年の十倍もあるだろうと予想されている。
昨夏の記録的な暑さでスギやヒノキの花穂が異常に生育したのが原因らしいが、花粉の時期になると悪夢のように思い出すことがある。
もう十年も前になるだろうか、中央本線の四方津(しおつ)という駅に降り立って付近の山道を少し散策してみようとしたときのことである。
桂川に沿った狭い畑道を歩いていると、近くの保育園 . . . 本文を読む
本の中の野性
友人に薦められて、宇江敏勝著『森のめぐみ』--熊野の四季を生きるーーを読んだ。
内容は大塔山系の照葉樹林の紹介からはじまって、古座川、赤木川、大塔川、安川、前ノ川といった川筋の住人の生活・行事・祭祀などの移り変わりを自ら足を運んでレポートしたものである。
ベースになるのは『紀伊続風土記』に書かれた記述で、著者は何代にもわたる山の民の暮らしを遡りながら、そこに生きる人 . . . 本文を読む
雪もなんのその
雪が降った節分の翌日、朝の明るい陽気に誘われて急に高尾山に行きたくなった。
駅に向かう途中、スリップしたワゴン車が両車線を塞ぐトラブルもあったが、なんとか午前中に高尾山口に辿り着くことができた。
土産物店の呼びかけを聞き流して、足元に気をつけながら登山道を登り始めた。
途中までは写真を撮りながらゆっくり進んだのだが、九十九折の先は急坂で間に合わせの靴では滑っ . . . 本文を読む