どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

むかしの詩集とフォト日記(14) 「下町」

2011-01-30 22:45:00 | ポエム
     とうもろこし畑      「下町」   星が呼ぶ   ふうりんが応える   見えない糸で結ばれているように   とうもろこしが匂う   眼裏にそよぐ緑の葉むら   もぎたての恋が疼く   屋台が通る   爺さんアセチレン灯を消しなよ   虫の声に火がついた   南部鉄のふうりん   一陣の涼風   つり鐘の中で小さな闇がゆれる . . . 本文を読む
コメント (2)

むかしの詩集とフォト日記(13) 「つくば嶺」

2011-01-25 00:12:46 | ポエム
     坊主岩         「つくば嶺」   山の中腹から見ると   澄んだ大気の底に濃い緑が沈んでいる   この夏も暑い夏となって   湖はこぼれた糊のように大地に貼りついている   <はじめにお殿様がござりました>   それが百姓の歴史だ   大地は領主さまからの預かり物   採れた穀物は半分お返しし   半分は恵んでもらう   何も採れない年は恵みもな . . . 本文を読む
コメント

(超短編シリーズ)44 『国旗屋』

2011-01-17 02:00:12 | 短編小説
     (国旗屋) 月の光が煌々と降り注いでいた。 川辺のススキが、風を受けて穂先を揺らしている。 夜半の土手は、人っ子一人通るはずもない。 その土手道を人影が横切った。 風に押されるように進む、前かがみの女の姿に見えた。 銀色の穂先は、なびく髪だったのだろうか。 光と闇のはざまで、人影が妖しく通り過ぎていった。 隼人は、胸苦しさを覚えて目を覚ました。 またも同じ夢を見たのか。 いや、わずかに違 . . . 本文を読む
コメント (4)

むかしの詩集とフォト日記(12) 「弔詩」

2011-01-10 00:29:48 | ポエム
     雪山      「弔詩」   たとえば一方に谷川岳があり   他方にアイガーの写真を掲げた喫茶店があるとき   きみは躊躇なくピッケルの方を選び   しばらく留守を頼むと言ったものだ   僕はといえば   午後の日差しが眩しくて   喫茶店の薄暗いボックスに坐り込み   雪と氷の鋭い岩壁に吐息を漏らしていた   きみの帰りはいつも突然で   僕のとなり . . . 本文を読む
コメント (2)

どうぶつ・ティータイム(122) 『新旧の対比が楽しい下町散歩』

2011-01-06 01:47:34 | 行事
       (新旧の対比が楽しい下町散歩)    五重塔  スカイツリー  正月休みも最後の1月5日、運動不足の解消を兼ねて浅草まで行ってみた。  ついでに評判の東京スカイツリーも見てみたいと、重い腰を上げた次第。  いま下町が熱いという。  どんどん高さを増すスカイツリーとともに、浅草を中心とした下町人気が沸騰しているらしい。  そんなわけで、この日撮った浅草寺五重塔と、吾妻 . . . 本文を読む
コメント (2)

どうぶつ・ティータイム(121) 『新春の深大寺にて』

2011-01-03 14:32:57 | 行事
      (新春の深大寺にて)                人混みは予想どおりであった。  バス通りはクルマの列で、なかなか前に進まない。  それでもバス待ちの人を掻き分けて参道に向かう。  昨年にぎわった「鬼太郎茶屋」に敬意を表して、まずパチリ。  店内には人があふれかえっていて近づけないから、屋根の上の下駄と壁のキャラクターで我慢しよう。      正門から . . . 本文を読む
コメント (2)