とうもろこし畑
「下町」
星が呼ぶ
ふうりんが応える
見えない糸で結ばれているように
とうもろこしが匂う
眼裏にそよぐ緑の葉むら
もぎたての恋が疼く
屋台が通る
爺さんアセチレン灯を消しなよ
虫の声に火がついた
南部鉄のふうりん
一陣の涼風
つり鐘の中で小さな闇がゆれる
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坊主岩
「つくば嶺」
山の中腹から見ると
澄んだ大気の底に濃い緑が沈んでいる
この夏も暑い夏となって
湖はこぼれた糊のように大地に貼りついている
<はじめにお殿様がござりました>
それが百姓の歴史だ
大地は領主さまからの預かり物
採れた穀物は半分お返しし
半分は恵んでもらう
何も採れない年は恵みもな . . . 本文を読む
(国旗屋) 月の光が煌々と降り注いでいた。 川辺のススキが、風を受けて穂先を揺らしている。 夜半の土手は、人っ子一人通るはずもない。 その土手道を人影が横切った。 風に押されるように進む、前かがみの女の姿に見えた。 銀色の穂先は、なびく髪だったのだろうか。 光と闇のはざまで、人影が妖しく通り過ぎていった。 隼人は、胸苦しさを覚えて目を覚ました。 またも同じ夢を見たのか。 いや、わずかに違 . . . 本文を読む
雪山
「弔詩」
たとえば一方に谷川岳があり
他方にアイガーの写真を掲げた喫茶店があるとき
きみは躊躇なくピッケルの方を選び
しばらく留守を頼むと言ったものだ
僕はといえば
午後の日差しが眩しくて
喫茶店の薄暗いボックスに坐り込み
雪と氷の鋭い岩壁に吐息を漏らしていた
きみの帰りはいつも突然で
僕のとなり . . . 本文を読む
(新旧の対比が楽しい下町散歩)
五重塔 スカイツリー
正月休みも最後の1月5日、運動不足の解消を兼ねて浅草まで行ってみた。
ついでに評判の東京スカイツリーも見てみたいと、重い腰を上げた次第。
いま下町が熱いという。
どんどん高さを増すスカイツリーとともに、浅草を中心とした下町人気が沸騰しているらしい。
そんなわけで、この日撮った浅草寺五重塔と、吾妻 . . . 本文を読む
(新春の深大寺にて)
人混みは予想どおりであった。
バス通りはクルマの列で、なかなか前に進まない。
それでもバス待ちの人を掻き分けて参道に向かう。
昨年にぎわった「鬼太郎茶屋」に敬意を表して、まずパチリ。
店内には人があふれかえっていて近づけないから、屋根の上の下駄と壁のキャラクターで我慢しよう。
正門から . . . 本文を読む