月面探査機シャクトリムシ号
なんの変哲もない写真だが、丸テーブルと尺取虫の取り合わせが面白かったので載せてみた。
淡々と机上を探っている様子が、横からの角度で緩やかな月面を連想させたというわけである。
かつてNASAが、アポロ11号で初めて人類を月に着陸させた1969年当時の興奮は、ここにはない。
さまざまの経験を経て、今は冷静に月の様子を見極めようとする航空宇宙 . . . 本文を読む
てふてふの戯れ
「てふてふが一匹韃靼海峡を渡つて行つた。」
安西冬衛の詩集『軍艦茉莉』の中の『春』と題された一行詩である。
平成17年11月15日、紀宮清子内親王が皇室を離れて一般のサラリーマンに嫁いだとき、彼女の卒業文集にこの詩が引用されているのが分かり、早くから自分の行くべき道を自覚していたのではないかと評判になったことがあった。
(楚々としてか弱い印象の紀 . . . 本文を読む
造花に騙された「てんとう虫」
なんだか降ったり曇ったりで、すかっとした秋晴れの日がなかなかやってきませんな。
近くの森に紅葉の兆しは見られるが、まだ目を見張るような色付きには程遠い。カメラをぶら下げてたまには出かけてみるが、がっかりして戻ってくる始末である。
今年はいずこも遅いようで、東京あたりは来年の一月にずれ込むところもあるとか。ほとんどジョークみたいな予報をラジオで聞い . . . 本文を読む
小枝になったナナフシ
昆虫の擬態にはいつも感心させられますが、自らの姿をランの花に似せて獲物を待つ花カマキリなどは、天才と呼んでも間違いないでしょう。
熱帯の森で木の枝にそっくりの姿になって鳥などの襲撃を避けているナナフシも、やはり天才の部類に入るのではないでしょうか。
テレビの映像で次々と登場する擬態昆虫を驚きをもって見詰めておりましたが、どれも東南アジアや南米アマゾンあた . . . 本文を読む
灯影に狂う蛾、陽に舞うスズメバチ
秋と夏との綱引きも、やや秋の優勢が感じられるようになりました。
虫の声を聴きながら、秋の夜長を庭で過ごすのも不思議な感覚を呼び覚ましてくれるものです。
焚き火をしていると、夜の蝶ならぬ蛾が飛んできます。蛾はより明るい傍の電燈に舞い移り、狂ったようにまつわりつきます。
素顔はあまり綺麗ではありませんが、スタンドの周辺を精根尽きるまで飛び回り、 . . . 本文を読む
ステルス戦闘機不時着?
九月になったら、訪問客の顔ぶれが変わってきた。
先月の末、雨上がりの朝には、セミが相次いでテーブルや椅子にとまり疲れを癒していたが、この日は巨大な飛行機がテーブルに不時着していたので驚いた。
黄土色で翼の幅は約二十センチ、ご丁寧に両翼に一個ずつ目玉がついている。
上から、前から、後ろから撮影したが、形は見たこともない戦闘機のようだ。
尾翼の右側が破 . . . 本文を読む
夏の忘れ物(ムシヒキアブと青虫の写真)
今年の夏は、北軽井沢でも31度を記録した。
けっこう蒸し暑さを感じる日があった。いつまで残暑が続くのだろうと、心配になるほどだった。
ところが8月の最終週は一気に気温が下がって、日中でも22度といった日が多くなった。
秋の訪れは急であった。夏が戻ってきたとしても、おそらく居心地が悪いだろう。
空には秋の雲が刷毛の跡のようになびく . . . 本文を読む
蝉と過ごす夏(4)
「ついに目撃してしまいました。火曜サスペンス劇場を・・・・」
ちょっと興奮気味に話し始めたのは、このところ畑づくりに精を出している一人の男。
被害者は<セミ>嬢。
犯人は、<スズメバチ>男。
以下、目撃者の証言をそのまま載せる。
「はい、わたしが野外で高校野球の実況中継を聞いていましたところ、数メートル離れた路上で急にバタバタと騒がしい音が聴こえま . . . 本文を読む
蝉と過ごす夏(3)
蝉くんがついに物干しの横木に取り付きました。
「山頂だ!」と思ったかどうか。
飛ばずに登りきった彼の状態が、この世にお目見えした危うさを秘めていませんか。
これからの一日一日が栄光の日々になるか、あっけない死との対面になるか。誰にも分かりません。
「やれやれ」
一息ついたあと、どこかへ飛び立ちました。
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蝉と過ごす夏(2)
このところ蝉の往来が激しい。
朝、庭の地面を這っていたり、テーブルや椅子に掴まっていたりする。
この日は物干しの柱にとまり、その後ひたすら上を目指して登り続け、ついに横木に取り付くことになる。
<長谷川の舞い>になぞらえるのは無理かもしれないけど、つい連想してしまうんだよね。
有名な登山家で岩登りの名人だったが、雪崩に遭って四十三歳で亡くなった長谷 . . . 本文を読む
蝉と過ごす夏(1)
前回の『ムシヒキアブと青虫』の写真は、まだうまく取り込めていませんが、前々回の『蝉の恩返し』で触れた生まれたての蝉を掲載します。
どちらもズームで撮ったもので、片方ができてもう一方ができないなんて恥をさらすようですが、ともかく(知恵熱おやじ)さんの懇切丁寧なご指導をいただいて誕生したての蝉を投稿できて喜んでいます。
蝉の姿が透けすけで見えづらいかも。
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黒と緑のエチュード
たぶんムシヒキアブの一種だと思う。
八月の白昼堂々青虫を引きずっている黒装束の忍者は・・・・。
庭の端から端まで約三メートル、自分の体の二倍半はある獲物をものすごい速さで運んでいくのだ。
観察しようと近づくと、一瞬のうちに飛び立ち姿を消した。
これは失礼しましたと離れると、一呼吸おいたばかりでもう舞い戻っている。
その間、青虫はだらりと身を伸ばし . . . 本文を読む
蝉の恩返し
ソローの『森の生活』に憧れたことがあった。
ウォールデン池のほとりを拠点に、アカリスやふくろうなどの小動物、トウヒや水草など樹木がみせる生命のきらめきを、季節の移ろいとともに淡々と描いた作品だった。
森自体が暗い印象を与えていたかもしれない。
作者の質素な生活ぶりが、隠遁者的なイメージをともなって、読者には少々堅苦しく感じられたような気もする。
それでもウ . . . 本文を読む