ヒメコブシ
(城跡ほっつき歩記)より
遠い国からやってきた
美の親善大使なんていったら
あなたは照れるでしょうね
寒い国から送り込まれた
プリマドンナにたとえたら
あなたは眉をひそめるでしょうか
ピンクに透けた花びらは
乙女の頬に浮かんだ微笑みのようで
人びとを魅了するのは確かだが . . . 本文を読む
マンシュウアヤメ
(城跡ほっつき歩記)より
どこで遇ったのだろう
この紫とは・・・・
時代も場所もはっきりしないが
なぜか脳の中枢がシクシクするのだ
むらさき地に楚々とした白を配して
花町の匂いが嗅覚器をゆする
戦前に花開いたアヤメの系譜なのか
それとも香を焚きこめた裾のそよぎか
&n . . . 本文を読む
作品集「霧の犬」を読んで
2014年11月23日、作品集『霧の犬』は鉄筆社創立記念特別書き下ろし小説として他の短篇3作とともに出版された。
先に書評風ポエムとしてぼくが取り上げた「カラスアゲハ」と、「アブザイレン」「まんげつ」などが所収されている。
上記短編小説は、比喩や象徴の多い表現に彩られてはいるが、一定のストーリー性があ . . . 本文を読む
モミジアオイ
(城跡ほっつき歩記)より
キャハハ あんたいつそこに不時着したの?
ドナルド・カーチスとのドッグ・ファイトに破れ
アドリア海に着水したはずではなかったのか
ピッコロ社に修理に出す途中で休んでいるのかな
モミジアオイは まるでプロペラだね
ポルコの愛機と同じロッソ・コルサ(赤)じゃないか
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アケビ
(城跡ほっつき歩記)より
あけび 明け日 朱火
開け陽 朱実 通草
木通 アケビ 開け日
熟れてなくても 開け実
あ・け・び・・・・
懐かしいヒビキ
ふるさと 里山 雑木林
見上げる先に 薄紫のまなざし
思い出の甘さ ほんのり
木々にとりつく 蔓の先には
秋 . . . 本文を読む