どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

ポエム340 『どじょう』

2023-02-03 00:01:41 | ポエム
もぐれ もぐれ 上澄みばかりが世界じゃない 泥の中には栄養がいっぱいだ   もぐれ もぐれ 泥にもぐれば敵の目からも逃れられる ほら 稲の方に行くな   たがめが じっと待ってるぞ あの足につかまったら雁字搦めだ 生きたままバリバリと食われるぞ   ああ 上澄みに住む者にはわかるまい ザリガニさんもそうだが 興奮がいっぱいの泥濘生活 &n . . . 本文を読む
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ポエム329 『アサガオは夏のパラボラ』

2022-08-12 00:02:00 | ポエム
  (ウェブ画像)より    アサガオの花は   夜が明けきらぬうちから  夏空のすべてを受け止めるための  準備をしている    見てごらんよ  無心にひらいた花びらを  まるで宇宙の仕組みを追求する  パラボラアンテナのようじゃないか    なんという中心部の輝き  降り注ぐ太陽エネルギーの一部を  花弁の内側に取り込んだみたいだ . . . 本文を読む
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自薦ポエム130 『天城ベニウツギは何処に』

2022-04-19 00:00:20 | ポエム
  アマギベニウツギ(画像は「季節のスケッチ・樹木の花」)より     湯ヶ島の温泉宿に泊まり しし鍋をつついたのはいつだったろう 川端康成にあこがれて 踊り子の舞台に立ってみたかったのだ   天城ベニウツギよ いまもそこにいますか 踊り子の少女のように 伏し目がちに俯いていますか   旧制一高の学生さんは なぜ踊り子の後を追 . . . 本文を読む
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自薦ポエム127 『樒にまつわる毀誉褒貶』

2022-04-03 00:32:20 | ポエム
 シキミ  (季節の花300)より     黄ばんだ唇を捻じ曲げて いじわるそうに空を見る 道理でおぬしは怪しげだ なにか魂胆もありそうで   花弁はまるでカンナくず ヘソの形も意固地に見えて うわさどおりの偏屈者か 樒という名も意味ありげでさ    世間の陰口さまざまだけど おぬしはそんなにワル者なのか 悪しき実がシキミの元の名などと . . . 本文を読む
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自薦ポエム125 『風船唐綿はなぜプンプン』

2022-03-25 01:22:38 | ポエム
 フウセントウワタ  (季節の花300)より   ふくらんだ ふくらんだ フウセントウワタがふくらんだ なにに怒って ふくらんだのか 猫のタマタマと揶揄されたせい?   ふくらんだ ふくらんだ 風船唐綿がふくらんだ トゲまで生やして どうしたの プンプン毒づく果実にお手上げ   ふくらんだ ふくらんだ ハリセンボンもたじたじの 危険な雰囲 . . . 本文を読む
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ポエム321 『フキノトウ』

2022-03-13 09:53:15 | ポエム
  フキノトウ(山形・月山)ウェブ画像より     庭の片隅に  フキノトウが頭をもたげた やあ 春だねえ どちらともなく手を挙げた   ことしも頼むよ どちらが言ったのか 両手をひらいて 春の素顔をアピールしたのだ   うん じゃあ頂くよ ぼくは屈んで手を伸ばした ハサミで根元をさぐり 思い切りよく力を入れる &nbs . . . 本文を読む
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ポエム319 『打ち上げられた海亀の生涯』

2022-02-22 16:34:20 | ポエム
 参考=ハコガメの一種  (ウェブ画像)より   南太平洋の北東寄りの海域に ガラクタバコと呼ばれる孤島がある 島の周りには幾つもの岩礁が隠れていて いつも海流が白波を立てていた   航海時代から近くを通る船もなく 長年にわたって存在を知る者もなかったが 難破船が岩礁にぶつかりバラバラに砕け 木片となって打ち上げられことがあった   そのまま . . . 本文を読む
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自薦ポエム121 『空飛ぶサソリ』

2022-02-18 00:54:23 | ポエム
 八重山サソリ  (ウェブ画像)より   いやあー オイラ死ぬかと思ったよ だって 突然ゆうパックに詰め込まれ ゆさゆさ揺られて 運ばれてきたんだ   あまり空気が吸えなくてさ 苦しいのなんのって だいたい行先もわからず不安だったよ   着いたら着いたで 居心地が悪くてさ 島の森で生活してたオイラにとっちゃ 空調の乾いた空気は耐えられなかった . . . 本文を読む
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自薦ポエム120 『キウイに捧げる紫綬褒章』

2022-02-02 00:03:32 | ポエム
 キウイ   秋は実りの季節 だが 厄災の季節 でもある   いざ収穫と心待ちしていた その日 とつぜんの気絶で 収穫されかけた   くら~い くら~い 明るい 気持ちいいだろう と ピコ太郎が笑う   これはきっと リスの仕業にちがいない 隕石に見せかけて 両手でツブテを投げたのだ   しばらく病院に閉じ込めて その間に果肉を食 . . . 本文を読む
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自薦ポエム117 『ナヨクサフジは天の贈り物』

2022-01-20 00:11:21 | ポエム
 ナヨクサフジ(弱草藤)  (季節の花300)より   へまをやっては深々と頭を下げる 飽き飽きするほど見慣れた風景だ どこまで本気なんだろうかと みんなの胸中をすきま風が通り抜ける   ナヨクサフジよ あなたの謙虚さは信じます 真夏の暑さに萎れたわけではなく 持って生まれた素直さが表れています あなたのような方の会見なら許せるのですが   . . . 本文を読む
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ポエム308 『楽しい終活』

2022-01-12 00:52:30 | ポエム
最近は「終活」という文字が躍っている 当世はやりの即製熟語だが その中身が一様でないところが面白い   財産目録を作ったり 公証役場で遺言書を書いたり カネがらみの整理が思い浮かぶが   ペットのカエルの扱い方をメモしたり 錦鯉の価値を子供に教えたり 愛するモノへの気配りも目立っている   あとは愛用する腕時計とか 40年も使い続けてきた万年 . . . 本文を読む
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自薦ポエム115 『苧環の自慢ばなし』

2022-01-08 00:01:00 | ポエム
 苧環の花   (季節の花300)より   苧環って知ってるかい つまりおいらのことなんだがね   知らねえだろうなあ 名前が読めるだけでも大したもんさ   苧環の語源までわかれば優等生だ 夜空のなかの1等星というところかな ちかごろ天の川は見えないね そうそう織姫さんと無関係じゃないんだ   苧環はオダマキ 機織りで使う糸巻きのことさ 繊 . . . 本文を読む
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自薦ポエム113 『シュウメイギクという暗号文』

2021-12-27 00:15:10 | ポエム
 シュウメイギク  (ウェブ画像)より   いつからシュウメイギクという単語が気になりだしたのだろう 国際スパイ組織の男がぼくの耳に吹き込んだ暗号だったとすれば たぶんチューリッヒの空港ロビーで近づいてきた早口の旅行者だ 何が目的でぼくのような東洋の青年に寄ってきたのかわからないが 夏にふさわしい青いジャケットを身に着けていたのが印象的だった   お金を要求し . . . 本文を読む
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自薦ポエム111 『風露のように寂しげに』

2021-12-15 00:24:59 | ポエム
 ヒメフウロ   (ウェブ画像)より   にがい思い出は いつまでも苦い 数十年の時を経て なお胸底に沈んでいる   圭吾くん きのうどうしたの 待ち合わせしたんでしょ エミちゃん駅で十一時まで ずっと待ってたらしいわよ   そ、そんな おかしいよ ぼくが誘ったとき返事もないし 下を向いて困っている様子 だから もうデートはない、と . . . 本文を読む
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自薦ポエム110 『ムスカリは風に乗って』

2021-12-11 00:05:00 | ポエム
 ムスカリ  (ウェブ画像)より   ブルーの水晶を散りばめたような姿は やはり外国からのお客様でしょう はるばる渡航して来ていかがですか 日本の気候風土はお肌に合いますか   そのことでしたらご心配はいりません おそるおそる訪れたのは確かですけれど いまでは野原に進出してのびのびやっています わたしの顔色を見れば一目瞭然でしょう   ところ . . . 本文を読む
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