どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

(超短編シリーズ)120 『元軍人とミュージアム』 

2017-12-28 02:24:30 | 短編小説
    ぼくは背の高い老人に誘われて、あるミュージアムに展示されている写真と映像を観に行った。  お客さんはちらほらで、この催し物が注目されているという印象はなかった。  背の高い老人とぼくがいつ知り合ったのか、あまりはっきりとは思い出せないし、この老人がどんな興味を持ってぼくを誘ったのか、その辺の意図も推し量ることができなかった。  ただ一つ特徴的なのは、その老人がアメリカ兵のかぶる陸軍 . . . 本文を読む
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ポエム181 『利休梅に託して』

2017-12-16 21:45:31 | ポエム
       利休梅     (城跡ほっつき歩記)より           ポツリと開花した利休梅の   気品に満ちた枝先をみつめていると   厳しさに耐えた者の迸る気合を感じる    しろしろとした蕾の数々が息を詰めて見守っている     「利心、休せよ」・・・・増長慢があったため   秀吉に切腹を命じられたと伝えられるが   大徳寺の楼門二階に自身の木像を置くという . . . 本文を読む
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ポエム180 『寒緋桜のさだめのように』

2017-12-09 11:57:01 | ポエム
       カンヒザクラ     (城跡ほっつき歩記)より           自然に咲く花が少なくなった冬   寒緋桜が慎ましやかに花開く   寒空の下でなんと淑やかに咲くのだろう   うつむき加減のエツコの姿が蘇る     宇佐市の叔父に引き取られると聞いたとき   ぼくの目の中で風景は回転した   筑波 . . . 本文を読む
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ポエム179 『チロリアン・ランプが照らす』

2017-12-02 01:00:32 | ポエム
       チロリアン・ランプ     (城跡ほっつき歩記)より         庭木が越境しているなどと   測量士の職業柄いうのはもっともだ   図面には描けないから   隣地との境界線を楕円の線で囲い   注意を喚起するのは測量図の基本らしい     人間のチマチマしたこだわりには頓着なく   もみじもイチョウも大 . . . 本文を読む
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