ぼくは背の高い老人に誘われて、あるミュージアムに展示されている写真と映像を観に行った。
お客さんはちらほらで、この催し物が注目されているという印象はなかった。
背の高い老人とぼくがいつ知り合ったのか、あまりはっきりとは思い出せないし、この老人がどんな興味を持ってぼくを誘ったのか、その辺の意図も推し量ることができなかった。
ただ一つ特徴的なのは、その老人がアメリカ兵のかぶる陸軍 . . . 本文を読む
利休梅
(城跡ほっつき歩記)より
ポツリと開花した利休梅の
気品に満ちた枝先をみつめていると
厳しさに耐えた者の迸る気合を感じる
しろしろとした蕾の数々が息を詰めて見守っている
「利心、休せよ」・・・・増長慢があったため
秀吉に切腹を命じられたと伝えられるが
大徳寺の楼門二階に自身の木像を置くという . . . 本文を読む
カンヒザクラ
(城跡ほっつき歩記)より
自然に咲く花が少なくなった冬
寒緋桜が慎ましやかに花開く
寒空の下でなんと淑やかに咲くのだろう
うつむき加減のエツコの姿が蘇る
宇佐市の叔父に引き取られると聞いたとき
ぼくの目の中で風景は回転した
筑波 . . . 本文を読む
チロリアン・ランプ
(城跡ほっつき歩記)より
庭木が越境しているなどと
測量士の職業柄いうのはもっともだ
図面には描けないから
隣地との境界線を楕円の線で囲い
注意を喚起するのは測量図の基本らしい
人間のチマチマしたこだわりには頓着なく
もみじもイチョウも大 . . . 本文を読む