どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

(超短編シリーズ)64 『ほめあげ屋』

2012-01-10 00:58:11 | 短編小説
     (ほめあげ屋) 謹厳実直で知られた亭主の塙謙吉が死んだのは一昨年の秋だった。 翌年の年賀状を欠礼し、代わりに歯科医だった謙吉の死を知らせるハガキを三百枚ほど書いた。 当然のことながら、元旦に届けられる郵便物は目立って減り、謙吉あての郵便物は、医療器具メーカーや業界団体からのものを含め十数通となった。 妻の澄子に来た賀状も十枚ほど、出した数より少ないのはいつものことだった。 謙吉が生きてい . . . 本文を読む
コメント (2)