どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

(超短編シリーズ)111 『リュウジの里帰り』 

2015-06-21 06:13:30 | 短編小説
    宮城県の栗原から福島県の勿来へ嫁いだ佐藤ふみ子は、このところ夜中に胸騒ぎのようなものを感じて目を覚ますことが多かった。  正確にいうと、胸騒ぎというより右胸のあたりに得体の知れないものが這い上がってきて、ざわざわと蠢いているような感覚なのだ。  (まさか、ムカデじゃあんめいな?)  ふみ子自身はムカデなど見たこともないのだが、船乗りである夫が寄港地の東南アジアで . . . 本文を読む
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