どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

(短編小説)『綱火』 

2017-07-07 02:01:57 | 短編小説
   野良着姿の男が、口笛を吹きながら畑道をやってくる。  東海林太郎の「旅笠道中」を、前奏部分だけなぞっているのだ。  入道雲が、くっきりとした輪郭を描いて、男の頭上にあった。  いたずら坊主が肩を組んで、男の頭頂部を覗き込んでいるみたいだ。 「庄さん、うまいね」  芳夫がすれ違いざまに声をかけると、庄さんの口元に微かな笑みが広がった。  芳夫は小学二年生である。  そ . . . 本文を読む
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