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空蝉 (うつせみと思いし時に‥‥)

2009-05-30 00:01:12 | 作詞・作曲


空蝉 (うつせみ)

うつせみと、思ひし時に、取り持ちて、我(わ)がふたり見し、走出(はしりで)の、堤(つつみ)に立てる、槻(つき)の木の、こちごちの枝(え)の、春の葉の、茂(しげ)きがごとく、思へりし、妹(いも)にはあれど、
頼(たの)めりし、子らにはあれど、世間(よのなか)を、背(そむ)きしえねば、かぎるひの、燃(も)ゆる荒野(あらの)に、白栲(しろたへ)の、天領巾 (あまひれ)隠(がく)り、鳥じもの、朝立(あさだ)ちいまして、入日(いりひ)なす、隠(かく)りにしかば、我妹子(わぎもこ)が、形見(かたみ)に置 (お)ける、みどり子の、乞(こ)ひ泣くごとに、取り与(あた)ふ、物しなければ、男(をとこ)じもの、脇(わき)ばさみ持ち、我妹子(わぎもこ)と、ふたり我(わ)が寝(ね)し、枕(まくら)付(つ)く、妻屋(つまや)のうちに、昼はも、うらさび暮らし、夜はも、息づき明かし、嘆(なげ)けども、
為(せ)むすべ知らに、恋(こ)ふれども、逢(あ)ふよしをなみ、大鳥(おほとり)の、羽(は)がひの山に、我(あ)が恋(こ)ふる、妹(いも)はいますと、人の言(い)へば、岩根(いはね)さくみて、なづみ来(こ)し、よけくもぞなき、うつせみと、思(おも)ひし妹(いも)が、玉(たま)かぎる、ほのかにだにも、見えなく思へば


作詞 : 柿本人麻呂 作曲 : コバタイサオ
(c) 2009, Skyfull Stars

※『万葉集』の中で、妻を亡くした虚無と哀しみを歌う柿本人麻呂の良く知られた長歌です。『万葉集』の詩歌に曲をつける僕のテーマ・シリーズの一曲です。同シリーズの『大和美し』を以前ご紹介しました。

※ また既に発表しました『あなたがくれた季節』とは同じメロディーとなっています。