阪急カッパ横町にある紀伊国屋書店の楽譜&音楽本専門ショップで、シンガー・ソングライターが書いた『できる!ゼロからのオリジナル曲作り』(中村隆道著)という本が目に付いたので買ってみました。「聴いて体感!」というCD付きで、レッスン段階に応じて参考曲(メロディー)が添えられ、仮想的にオリジナル曲を作るシミュレーションが出来るという趣向です。
B-5判サイズの比較的ゆったりと余白もある本で、この種の本にありがちな文字と音符がビッシリ詰まったイメージがないのが、何か爽やかでセンスが良い印象です。おそらく著者の作り出す曲もそんな系統かと想像しながら読みました。全体に実体験的で分かりやすく、オリジナル曲作りそして実際にその曲を歌うための参考本としてお薦めします。
さて、その中に「Dメロは実は秘技」というページがありご紹介します。Dメロとは標準的なAメロ・Bメロ・Cメロ(サビ)という構成に、更にもう一つ付け加えて曲全体や最終大サビの効果へと繋げる独立的なメロディーのことで、最近のヒット曲にも良く使われる手法となっています。「それまでの雰囲気と同じ印象ではDメロの意味がありません。思い切って大胆に作ってみましょう」とのアドバイスが載っています。
実は僕の中でも昔作った曲にこのDメロを付けて、少しバージョンアップさせる“再生プロジェクト”がマイブームとして流行っています。確かに以前は余りDメロ構成というのは少なかったと想います。その頃に作った割とシンプルに感じる曲に新たにDメロを作るのは、何か昔の自分と時を越えてコラボレーションしているようで不思議な面白みがあります。
例えば僕の『トワイライト』という曲では、「心残して帰ろうか 頬も茜に染まるから 遠くへ伸びた影ぼうし その悲しみも その優しさも 重なるよ」という部分が最近作ったDメロで、昔作った「陽は落ちて‥‥」の繰り返しだけよりも、曲と詞の味わいが共に増したように自分では思っています。
『一人仄香』(ひとりほのか)という最近の演歌・歌謡曲風の作品でも、2番の後の間奏に続く「故郷の空を あなた忘れてしまったの 遠く離れても わたしは待っています」の部分も、マイナーからメジャーに部分転調させてDメロを挿みました。もちろんシンプルな構成の美しさや、今ではそれが逆に新鮮さもありますので、全てが主流となったDメロで成功するとは限りませんが。
聴いて体感! できる! ゼロからのオリジナル曲作り 中村 隆道 自由現代社 このアイテムの詳細を見る |
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