『The Point Network』では家電情報の他に、季節の写真撮影講座のようなコーナー(今号のテーマは恒例の紅葉写真の撮影ポイント)や、料理レシピ紹介などの面白い記事が載っていますが、巻末連載の『ライカ・ストーリー』は名機ライカの歴史や写真家にまつわる挿話を紹介し特に興味深いものとなっています。この101秋号では第8回「戦争を伝えたカメラマン」として、ベトナム戦争に帯同しピューリッツァー賞を始め数々の栄誉に輝いた、日本人報道カメラマン澤田教一の人生と業績にスポットを当てています。
青森の名門、県立青森高校を卒業後、早稲田大学政治経済学部を浪人してまで受験するも失敗し、三沢市のカメラショップに勤め始めたことが、結果として報道カメラマンとしての道を歩むことに繋がっていきます。カメラショツプを訪れる米兵との交流や奥さんとの出会い、そして上京しての写真報道の裏方の仕事を経てカメラマンとしてのチャンスを掴みます。それからは猛スピードで栄光と悲劇へと向かっていくように思われます。澤田が34才で早世した後に、第二次世界大戦勃発とともに、1945 年まで『ライフ』の特派写真家としてヨーロッパ戦線の重要な場面を記録し続けた、澤田の尊敬するロバート・キャパの名を冠した賞にも輝きますが、それが報道カメラマン澤田教一にとってとても象徴的に思えます。