続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

F『真珠の首飾り』

2012-09-14 07:15:25 | 日常
 フェルメールの『真珠の首飾り』

 髪をしっかり結い、光沢のある黄の絹布、毛皮の縁取りをした高価な衣装を身に付けた少女。初めてかもしれない真珠の首飾りに魅了され、その真珠が見えるように掲げている。もしかしたら少し踵を上げ背伸びしているかもしれない。高貴な光に胸いっぱい満たされたような静かな笑み。うっとり見入る真珠をつけた自分の姿。

 これ以上の幸福がどこにあるだろうか・・・少女はこの真珠の首飾りをつけることの出来る年令に達し、社交界デビューも間近かなのかもしれない。高鳴る胸の鼓動が聞こえてきそうな春の目覚めともいうべき光景。

 しかしフェルメールは警告する。世界の半分は闇であり、危険な罠や悪が常に足元を脅かしているのだと。

 美しく成長し、裕福でもある少女の希望に満ちた光ある未来にも、やがて経験するかもしれない人生の悲しみを作品の下半分近くを黒い影として暗示している。

 フェルメールの洞察は、カメラのような細密を超越した人生の細やかな機微がある。眩しいほどの美しさに魅了されながらふとその翳りに気づくと、作品は更なる幻想を持って語りかけてくるのである。


 昨日の国立西洋美術館は大変な人で、このフェルメールの作品に至近距離で凝視することなど望めないほどの混雑振りだった。
そしてそれにもまして「ツタンカーメン展」の行列には驚愕。花の東京、上野駅は炎天下にもかかわらずお祭りみたいだと・・・芸術文化への傾倒、驚いているようではダメなわたくしであることを実感。
(写真は「フェルメール」著者・小林頼子/東京美術刊より)

『風の又三郎』441。

2012-09-14 07:06:32 | 宮沢賢治
嘉助はまだ起きたばかりで
「いまごはんだべて行ぐがら。」と云ひましたので一郎はしばらくうまやの前で待っていました。
 まもなく嘉助は小さい蓑を着て出てきました。

☆火星の鬼(死者の魂)の光のうん(さだめ)。
 宇宙は総てを慈しむ。
 火星の照(光)は、些(取るに足らない)であり、寂しい。

『城』1033。

2012-09-14 06:34:44 | カフカ覚書
これは、そういう可能性もなかったわけではないということをちょっと申しあげただけですが、以下に申しあげることは、わたしがはっきりと承知している事実です。つまり、そうこうしているうちにですな、ある監督局が、何年もまえにA課から村あてに測量師にかんする問合せがなされたが、いまにいたるまでその回答がとどいていないということを発見したのです。

 回答/Antwort→Ende wort/死、言葉。

☆これは、そういう可能性を説明しただけですが以下のことは決まったことです。
 死の支配が何年もまえにA課から村(来世)あてに、測量師(土地を失ったことに気付いた人)に関する問合わせがあり、今に至るまでずっと先祖は死の言葉(本当の死の宣告)はないということに気づいたのです。