続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

川俣正の仕事。

2012-09-24 06:33:26 | 美術ノート
 アートテラーさんが先ず一番に案内してくれた作品は、東京スカイツリーを見るための展望台なるざっくりした小屋風の建造物。

 鐘ヶ淵駅近くにある河原に建てられたその展望台からスカイツリーを見ると、なるほどスカイツリーと対峙しているような神聖な気分になるから不思議。
 木材、自然素材使用のそれは隙間だらけの要塞といった感じで雨風はもちろん光も通すので、あたかも内部にいて外部に放り出されたような奇妙な感覚に陥る。しかも上に登って行くのは階段ではなく坂であり、それは緩かったりきつかったりの変則で、全体らせん状に上に伸びている(自然を模している)。

 素人の仕事風な箇所をも残して造られた子供の基地のようなこの荒っぽい建物は近隣の近代建築(ビル)とは異彩を放っている、というか時代錯誤の感も露な戦後、あるいは原初的な風景を作っている。


 川俣正という造形作家は、人間の本能を刺激する作家である。現代に於いて、その作品が周囲に溶け込んでいるかといえば、むしろ違和感を髣髴させる、時代に逆行した物造りである。

 ただ、忘れかけている原初・・・懐かしさがこみ上げるような鑑賞者の原風景を思い起こさせる何かがある。作品は鑑賞者を誘い、作品の内部にまで誘い込む要因を孕んでいる。素材は無垢の木材使用に見えたけど、むしろ廃材の荒々しさの方が、より強い郷愁を惹き起したかもしれない。

 川俣正は、人間の手を通して、風景(自然)を媒介する作品造りをしている。
 風景の中の人間、人間の中の風景。現代感覚との差異、摩擦、ズレが喚起させる原風景。時間、存在、立ち所を問う作家である。

『風の又三郎』451(了)。

2012-09-24 06:14:25 | 宮沢賢治
 二人はしばらくだまったまゝ相手がほんたうにどう思ってゐるか探るやうに顔を見合わせたまゝ立ちました。
 風はまだ止まず、窓がらすは雨つぶのために曇りながらまたがたがた鳴りました。

☆普く神である。
 総ての衆(人々)の死は、譚(物語)としての願いであり、幻である。
 業(身、口、意による善悪すべての行為)の律(物事の基準になる決まり)。

 普く双(二つ)の有(物語としての存在)があり、運(めぐり合わせ)は命(天の定め)である。

『城』1043。

2012-09-24 05:52:01 | カフカ覚書
「あなたは、わたしを測量師として雇い入れるべきでないなどと絶えずおっしゃっていますが、わたしはすでに採用されているのですよ。ここにクラムの手紙があります」

 クラム/Klamms→Klan/氏族。
 手紙/Briefe→Blitz/電光、稲妻。

☆あなたは、わたしを測量師(土地のないことに気付いた人)だと理解するわけにはいかないとおっしゃっていますが、すでに理解されているんですよ。
 これは、クラム(氏族)の電光です。