続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

息子の声。

2014-06-03 06:49:30 | 日常
 昨日、用があって息子に電話。(ああ、なんて懐かしい息子の声)

 おれおれ詐欺に引っかかる人はなぜ息子だと名乗る犯人の声に不審を持たないのだろう、と思う。
 人は、より強い印象のほうに引き寄せられる。嘘の緊急事態に反応するあまり、息子云々という肝心要の確認は吹き飛んでしまい、助けられるのは母である自分しかいないという究極、限定的な気持ち、即ちパニックである。
 それにしても離れて暮らしていると、息子の場合《用がなければ音沙汰なし》というケースが多い。突然電話があろうものなら《どうしたの、何かあったの!》と母親のほうも心中穏やかならざるものが走る。その母子の関係をうまく衝いた犯罪が、おれおれ詐欺である。詐欺被害の数には驚くと同時に、ため息混じりに共感できるのも哀しい。


 短い会話、用件だけの束の間・・・それだけでも、その声だけでも母は息子の近況を把握できる。声のトーンに弾みがある、(大丈夫なのね)母は確信し、受話器を下ろす。

 母親に寄り添う娘さんの姿を見かけると羨ましいと思う。そっけなく疎遠になっていく息子たち・・・あんなに賑やかに暮らしていたのは幻になってしまった。親が息子たちにしてあげられる最大のプレゼントは、息子たちに心配をかけずに暮らすこと・・・息子たちの生活の自由を守るために。

 健康保持は自分だけのためではないと、つくづく・・・。

『城』1642。

2014-06-03 06:04:08 | カフカ覚書
 Kは、この返答に満足しなかった。それで、なかば冗談まじりに、なかば本気でこう言った。きみはどうやら助手たちと同盟をむすんでいる、と言って悪ければ、彼らに非常に好意を寄せているように見えるよ。なるほど、彼らは、べつに悪者ではないさ。しかし、どんな相手だって、いくらか好意をもっていても厄介ばらいできないことはないものだよ。それをこの助手たちによって証明してみせてあげよう。



☆Kはこの返答に満足しなかった。中途半端に苦しめ、中途半端に禁錮する。君は彼らとつながっているようだと言った。少なくとも先祖には非常に好意をもっているように見える。彼らは立派に罪を償っている。その良い志を除くことはできない。それを助手(脳、知覚)が証明するようになるだろう。