『旅行者用折り畳み品』
《レディ・メイド:アンダーウッド社タイプライターのカバー》であるという。
カバーは本体を包むものであるから、当然本体(ここではタイプライター)を想起する。しかし、設置の様子(写真)を見てみると、本体に被せたわけではなく、カバーのみであることが判明する展示である。
明らかにカバーのみである、しかし、アンダーウッド社を知る者は、タイプライター(本体)を想起するが、アンダーウッド社を知らない者にとっては、単に黒色の使途不明なものに映るのみである。
『旅行者用折り畳み品』と銘打っている(高さ/23cmは確かにコンパクトである)が、旅行者用である必然性はなく、折り畳めて持ち運べるサイズは旅行者用にもふさわしいのではないかというに過ぎない。
しかし、折り畳むということは、本体を無視したものであり、旅行者はこの使途不明な折り畳み品を持参して何の得ることがあるだろうか。
このブラックユーモアは笑えない。なぜなら本気の空疎/空回りを実証しているからで、わたしたち鑑賞者は試されているからである。
《有るが無く、無いが有る》という心理循環は結論から言えば《空論》に終わるが、これは《無の本質》を隠した中身(本体)なしのカバーらしき物という作品である。
(写真は『DUCHAMP』TASCHENより)
蓑帽子をかぶつた専門の猟師が、草をざわざわ分けてやつてきました。
そこで二人はやつと安心しました。
☆査(明らかにすること)を望み、詞(言葉)を選ぶ。
霊(死者の魂)覗(うかがう)総ての文は、字の図りごとの案(考え)で、審(正しいかどうかを明らかにする)
そのくせに、すぐまたいきなり新しい計画をもちだすのでした。罪を確認することに失敗し、したがって、これ以上公的な手だてでいったところでどうにもならないから、もっぱら請願だけにしぼって、役人たちと個人的な接触をもつようにしなくてはならない、と言うのです。
☆仲介のない未知の計画を持ち出しましたが、成功することなく、より大きな使命がなくてはどうにもならないというのです。排他的な個人による死の請願でなくてはなりません。