『与えられたとせよ:⑴落ちる水⑵照明用ガス』
(与えられた)ではなく(与えられたとせよ)という命令形の前提である。この作家は、どこからものを言っているのだろう。
『《水地球と光エネルギーの根源である太陽》を踏まえて思考せよ』と言っている。ずっと離れた地点…宇宙の任意の点から地球という星の生息状況を観察し、覗き見ているというスケールである。
にもかかわらず、覗き穴という極小の点を転換点に起用している。この小さな人間の等身大の作品は、無限の宇宙からようやく探し当てた生物の生息する世界の発見である。わたしたちは宇宙の任意の点から覗き見られている構図であり、その作品をわたしたちが覗くという二重構造になっている。
一見して粗末な風情、猥雑な光景…ここに「何を感じよ」というのか疑問が残る。
しかし作品の熟慮された計算や重ねた思考の痕跡には、作家の反撃にも似た猛烈かつ静謐な息遣いが潜んでいる。