『L.H.O.O.Q』
モナリザの複製画にひげを加筆したもの。
いたずらでよくやる手法であり、ひげを加筆しただけで成人男子に変貌する。女と男の境界が〈ひげ〉であるとは言わないが、ひげは男の象徴でもある。
ひげを蓄えた女性は特有のホルモンのせいもあってきわめてゼロに近い。〈ひげ〉の有る無しは男女を区別すると言って過言ではない。
なぜ女性美の極致であるモナリザを男性に変貌させたのだろうか。モナリザには男性のキメラがあると直感したのだろうか。それとも男女の区別などこの程度のものだという皮肉なのだろうか。
(ヒトの染色体は46本であり、そのうちの2本によって男女が決まる、男はXY、女はXX)ほんの少しの差異・偶然が、男女を決定することへの漠然とした不審・曖昧さ。
男が女であっても、女が男であってもいいという境界線の踏破。
ある意味、生物としての回帰かもしれない。最初から~、その最初はどこにあるのだろう。
デュシャンの空漠・空虚(無)への突破口は、この問題の壁への問いにある。
(写真は『DUCHAMP』TASCHENより)
木の上でしきりに頸をまげてゐる雪狼の影法師は、大きく長く丘の雪に落ち、枝はたうとう青い皮と、黄いろの心とをちぎられて、いまのぼつてきたばかりの雪童子の足もとに落ちました。
☆黙って照(あまねく光が当たる=平等)の景(ありさま)を運(めぐらせている)。
浪(さまよう)翳(かげ)との逢(出会い)を思(考える)。
題(テーマ)を謀(探り)究(つきつめる)説(はなし)である。
絡(筋道)は死における照(あまねく光が当たる=平等)であり、秘(人に見せないように隠している)。
とにかく、父にさいてくれる時間なんかありません。おまけに、お城へ行く道が何本もあるのです。
☆いずれにせよ、父(宿命)には小舟の時間が残っています。死へ向かう方向はいろいろあるのです。