『完全なる調和』
女は一糸まとわぬ姿で毅然として立ち、一枚の葉(『大家族』における鳩がくわえて来たであろうオリーブの葉か?)を掲げている。
背後には巨岩石、窓外は曇りがちの空ではあるが静かな海の水平線(真理)がある。
これを称して『完全なる調和』と題している。
自然体の女が抱く一葉は、生命の根源であるエロス(性的な愛)を暗示しているのではないか。背後の巨岩石は、
わたしのほかに神があるか。わたしのほかに岩はない。(聖書『イザヤ書』より)
という強い信仰心であり、それを《善》とすれば、水平線は《真》であり、女は《美》である。
水平線(真理)が微妙に雲に霞んでいるのは大いなる岩が彼女を守っている、あるいは拘束しているせいかもしれないが、この結びつきが彼女の中で完全なる調和を保ち、彼女自身の存在を証明している。
『完全なる調和』は、(完全なる)調和であって、(完璧なる)完全という意味ではないが、『完全なる調和』を保つ彼女の崇高さに敬意・感服を表明したものと思う。
(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)
「さうか。よし、引き受けた。おれはきつとおまへたちをみんなもとのやうにしてやるからな。丸薬といふのはこれだな。そしてこつちの瓶は人間が六神丸になるはうか。陳もさつきおれといつしよにこの水薬をのんだがね、どうして六神丸にならなかつたらう。」
「それはいつしよに丸薬を吞んだからだ。」
☆音を需(求めること)を願う。訳(ある言語をほかの言語に言い換える)便(手段)の図りごとが現れる。
録(文字に書き記して)真(まこと)の願いを陳(言葉を並べて)推しはかる。
訳(ある言語をほかの言語に言い換えて)録(文字に書き記した)真(まこと)を願う。
願いの要は、訳(ある言語をほかの言語に言い換えること)を呑(取り込むこと)である。
あの子のまえに突然まったく新しい世界がひらかれたのようで、あの子は、この新しい世界の幸福と不安に耐えられなかったのです。
☆彼の前に突然新しい世界が現れたのです。死の新しい世界の運命と心配に、彼は耐えることができなかったのです。