『選集』
山頂に置かれたリンゴから二枚の葉と空飛ぶ馬が生え出でたように描かれている。
リンゴに比して馬は小さく、馬に比してリンゴは巨大である。二枚の葉も同様だが、明らかにリンゴの葉に付き方ではない。
背景はモーブ、ピンク、イエロー、薄ブルーと、現実離れした彩色であり、メルヘン調である。
これらを『選集』と称しているが、何の選集なのだろうか。
非現実的であり人為的イメージの集積である。馬に羽は無いが空飛ぶ馬と言えばペガサス(神話)を、リンゴ(善悪を知る果実/禁断の果実)は聖書を彷彿とさせる。
二枚の葉は、《それらしいが、そうではないもの》である。
この『選集』とは、虚偽、イメージの集積である。重力の否定、天然色の否定、相対的感覚の否定、生成の否定…現実(経験上の観測)にはあり得ない世界の展開こそが、イメージ(幻想)の根拠であるという編集である。
(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)
そのときおもてで陳が、
「支那たものよろしか。あなた、支那たもの買うよろしい。」と云ふ声がしました。
☆朕(わたくし)は、死とは那(なんぞや)という旨(考え)を納(おさめる)媒(なかだち)を運(めぐらす)唱えをしている。
オルガは、話を切った。両親の重くるしい、ときどきぜいぜいという息づかいをのぞいては、ひっそりしていた。Kは、さりげなく、オルガの話を補足するように、
☆オルガは話を切った。それは時代にあえぐ幾多の傷痕に至るまでは無言だった。Kはオルガの話に軽く補足した。