『観光案内人』
観光案内人、過去の歴史の地を巡るツアーの案内人である。
ローブ着用は皇帝を意味する。背後に二人の皇帝がいるが、三者ともそれぞれの方向を向いている、つまりは見解の相違、闘争を暗示しているのではないか。
手前の男は火を噴き、三つの建屋を手中に握りしめている。烈しい戦闘に勝利し、幾つかの国を勢力下に置いたということである。
ふと考える…これはナポレオンではないかと。
ヨーロッパの大半を勢力下に置くほど重ねた勝利。軍事独裁の政権を樹立したが、ワーテルローの闘いで完敗し、最後はセントヘレナ島へ幽閉されたナポレオンの霊魂が現代(あるいはずっと先の未来)によみがえり、功績の跡地を案内しているという構図を想起させる。
皇帝のローブ・三者三様の眼差しの方向・烈火・手中に収めた集合住宅(国)などのヒントが想像の根拠である。
霊魂となった(あるいは生まれ変わった)ナポレオン(あるいは歴代の皇帝)が、古戦場の面影もない新しく変貌した街に出現し、過去の功績を吹聴しているとしたら…というイメージ図であり、マグリットのユーモアである。
(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)
それでもむりやりそつちを見ますと、ひとりのおかつぱの子供が、ぽかんと陳の前に立つてゐました。
見ますとはケンと読んで、嫌。
子供はシ・クと読んで、死、苦。
陳はチンと読んで、鎮。
前はゼンと読んで、繕。
立つてはリツと読んで、律。
☆嫌な死の苦しみを鎮め、繕う律がある。
わあしたちをそれぞれべつに考えてくださらないと困りますわ。バルナバスは、あの二通の手紙によってまたもとの幸福な少年にもどってしまいました。自分の仕事をまだいろいろと疑ってはいますけれどもね。
☆わたしたてゃ差別の中にいるにちがいないと、とオルガ(機関)は言った。
バルナバスは疑わしい証明書を通して、先祖の運命をガラクタにしてしまいました。自身の活動を疑ってはいますが。