続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

『飯島晴子』(私的解釈)囁いて。

2021-05-28 07:28:43 | 飯島晴子

   囁いて秋の畳を干す男

 囁いてはセツと読んで、窃。
 秋の畳はシュウ・ジョウと読んで、羞、常。
 干す男はカン・ナンと読んで、艱、難。
☆窃(そっと盗む)のは羞(恥)である。
 常に艱(悩み、苦しむ)難(非難すべき点)である。

 囁いてはショウと読んで、紹。
 秋の畳はシュウ・ジュウと読んで、修、自由。
 干す男はカン・ダンと読んで、換、談。
☆紹(引き合わせて)修(おさめる)、自由に換(入れ替える)談(話)がある。

 囁いてはショウと読んで、衝。
 秋の畳はシュウ・ジョウと読んで、宗、定。
 干す男はカン・ダンと読んで、観、断。
☆衝(重要)な宗(一族の中心となる家、人物)の定め。
 観(よく見ると)断(断ち切られている)。


鈴木しづ子(私的解釈)蟻の体に。

2021-05-28 07:12:09 | 鈴木しづ子

   蟻の体にジュッと当てたる煙草の火

 地を忙しく這いまわる蟻を俯瞰した時の己の巨大、力の大いなる差異に邪悪な満足感が過る。

 たかが蟻一匹の命、絶命したところで世界は変わらない、不明な心の揺らぎ。
 蟻の体にジュッと当てたる煙草の火…残酷、惨劇、蟻の哀れ。
《あなた(蟻)よりワタシは強い》不遜な嗤い。《あなた(蟻)はワタシ》、胸の中で交錯する自虐と悔恨。乾いた涙は煙と化す。


若林奮『Ⅱ-1-1』

2021-05-28 06:31:04 | 美術ノート

   Ⅱ-1-1 自分自身が目前の空間を知るための模型Ⅰ

 自分自身の目前の空間・・・視覚に収まる領域を超えて感じる世界(光景)。目をつむってもいいかもしれない、あらゆる感覚器官を行使して確かに感じうるものを、触覚に変換し距離を測りながら質量を伴ったものへと置換していく。

 空気感、振動が伝える距離感と質感、内在する不思議な衝動。位置、大きさ、それらは静音のリズム、振動として作家に響き伝えている。
 見えることと、感じることの差異、あるいは同質。すべてをそぎ落として残存するある種の手触り。
 
 地上の突起(木々や林や人々、建築物)、地下の水脈(せせらぎ)。この地に立つ(存在する)と言うことの条件。作家自身も大地(世界)における付属物にすぎないが、自身の主張である目前の空間。

 なんという静謐な空間、しかし、この現時点の高さを知らない。平地だと思っている場所が山頂なのか海底なのかを測れない、精神的な領域であれば。
 わたしは世界の中に存在するが、世界はわたしを束縛する、この共犯関係においてわたし(作家)は世界を《目前の空間》と呼ぶ。きわめて私的空間にすぎないが・・・。


 写真は若林奮『飛葉と振動』展より 神奈川県立近代美術館


『城』3661。

2021-05-28 06:16:31 | カフカ覚書

じゃ、わたしは、いったい、なんだとおっしゃるの」
「あなたがお内儀さん以外になんであるかは、わたしにもわかりません。わたしにわかっているのは、あなたが宿屋のお内儀さんでありながら、およすお内儀さんなる人に似つかわしくない服を着ていらっしゃるということだけです。こんな服は、わたしの知るかぎり、この村ではあなた以外に着ている人はありませんよ」


☆では、わたしは何なんでしょう。あなたが確かにそうであるか、単に不遜にもそう思っているにすぎず、わたしにもわかりません。先祖の女主人、その他にどういう氏族に適合するかなど、ここ来世に来て知っている人は誰もいません」