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米貿易赤字縮小は一時的かー学校で教えてくれない経済学

2005-07-14 08:31:44 | 経済学
7月13日、米商務省は、5月の米貿易赤字額は、
原油価格の下落で輸入が減り、輸出が増えた結果、
4月対比2.7%減、553億4,9900万ドルと発表した。

 一方、米労働省は、6月の米輸入物価指数は、
原油価格がバレル60ドルを突破してことが影響し、
前月比1%増加したと同日、発表した。

 多くの専門家は、原油相場がここへ来て再び
60ドル台へ回復してきていることから、5月の
米貿易赤字縮小は一時的現象と見ているようだ。

 米貿易赤字は、このままのペースで進めば、
2005年は6,816億ドルへ拡大、2004年の
6,176億ドルと比べて10%以上増加すると見られている。

 赤字額縮小は、5月の原油輸入額が、4月の
140億ドルから137億ドルへ減少したことが影響し、
全体の輸入額が1,636億ドルから1,622億ドルへ
引き下げたためである。

 5月の衣類及び繊維製品の輸入増加が対中国の
赤字額を昨年11月以降最大の7.1%増、
158億ドルへ拡大させた。

 2005年の対中赤字額は2004年の1,620億ドルを
上回るペースで進んでいるとアナリストは指摘している。

 対日赤字額は71.8億ドルから65.8億ドルへ減少した。

 このことは米国では円高圧力が後退し、人民元切り上げが
政治問題化している背景を正直に説明している。

 5月の輸出は、4月の1,067億ドルから1,069億ドルへ
増加した。航空機需要が落ち込み資本財輸出が減少したが、
食料、消費財、工業製品輸出がそれぞれ増加した。

 労働省が発表した輸入物価指数では、エネルギー物価は
1%以上増加したが、非石油製品はここ4年来最低の0.4%
下落した。
  
 中国からの輸入物価も0.1%下落した。

 中国品の量が増え値段は上がらないことが
特に米国の製造業者を刺激しているのであろう。

 労働省が発表した6月の輸出物価指数は、5月と
横ばいであった。農産物物価は5月1.9%増にいついで、
5月1.2%増加した。

 農産物の國際相場上昇を反映している。

 農産物を除く物価が低迷し、原油相場が高値安定することが
この先予測されることから、米国の貿易赤字の拡大トレンド解消は
実際問題難しいかもしれない。

 7月13日、NY株式市場は5月の米貿易赤字縮小を材料に前日比
43ドル値上りした。

 しかし、これには、NY原油相場が、米国の石油製品在庫が
予想を上回り増加して、61セント下げ60.01ドルと比較的
落ちついた動きで推移したこととIBMのIBM好決算、アップル
コンピュータの業績好転を歓迎した影響がNY株全体にも
プラスに働いたようだ。

 株式相場は全てではないが、株式投資にかかわらず
相場は人の心を写す鏡でもある。

 銘柄選択でも、このところ出来るだけ原油の周辺銘柄を
避けて通る雰囲気が見られまことに興味深い。

 原油相場の先行きになにやらきな臭いニオイを投資家は
かぎつけているのかもしれない。

 五感には視覚、聴覚、味覚、触覚、嗅覚とあるが、
最近の日本人がとみに衰えを見せているのが嗅覚であろう。

 ブッシュ大統領は石油のニオイがすると以前米有力誌
Business Weekが一文字で彼の正体を見抜いていた。

 米貿易赤字縮小は一時的か。

 政治も経済も石油次第でどちらにも転びうることを
投資家は嗅ぎつけているのかもしれない。

 日本という国は石油を断たれて戦争に突入した。

 学校でも家庭でも、この単純明解な事実を
子供たちに是非ともたたき込んでおいて欲しい。(了)

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