NYダウは、5月30日、インフレ懸念、利上げ継続、米消費者信頼感低下を悪材料に、先週末比184ドル大幅値下がりして11,094ドルで取引された。
NY為替市場は、同日、財務長官が、John SnowからGoldman Sachs Group会長のHenry M. Paulson Jrへ交代するとのホワイトハウスの発表を受けてドルが売られ、1ユーロ=1.2867ドル、1ドル=112.16ドルで取引された。
NY債券市場では、シカゴ連銀総裁が、コアインフレ率が、米金融当局が居心地のいいゾーンとする2%限度一杯まできていると発言したことを嫌気して下落(利回りは上昇)、10年もの国債利回りは5.050%へ上昇した。
NY原油先物相場は、バレル66セント上げ、バレル72.03ドルで取引された。一時高値72.55ドルまであった。世界的に原油需要が堅調持続の中、今週末開催予定のOPEC総会で生産限度枠を2,800万バレルに据え置きを決めるとの思惑から値上がりした。
ドル相場の反面教師でもある金相場はオンス2.5ドル高と小幅上昇にとどまり、652ドルで取引された。ドルが売り直されると金が又かま首をもたげてくるかもしれない。
NYダウの大幅値下がりには、米時間水曜日(5月31日)発表予定の5月10日開催のFOMC(連邦公開市場委員会)議事録公表を見極めたいとの思惑も働いたようだ。議事録で
インフレ懸念が改めて確認されると6月28日開催予定のFOMCで利上げ継続の思惑が強まるであろう。
Wal-Mart Storesの5月の売り上げが落ちたとの発表もNYダウ下落に影響した。原油・ガソリン高騰が個人消費の足を引っ張り、景気減速懸念がでてくるからだ。米個人消費に対する先行き懸念は、消費者信頼感指数であるNY、Conference Board指数が4月の109.8から103.2へ大幅低下したことも影響したようだ。
週末には最新の米雇用統計の発表を控えている。データ重視のバーナンキ采配だからどうしてもマーケットがデータを先読み、先読みして弱気をさらに増幅させているようだ。お金ほど臆病な生き物はいない。相場の世界ではこの先どちらに進むのかがはっきりしないことが一番いけない。雁行という言葉がある。リーダーの下一糸乱れぬ姿は見事である。
スノー財務長官が金融に明るいはずのポールソン氏へ、FRB議長はグリーンスパン氏からデータ重視のバーナンキ氏に交代した。今朝のNYダウ大幅安はなにを意味するのであろうか。医者が代わると一番困るのは患者であることを思い知らされるかもしれない。(了)
江嵜企画代表・Ken