米ブッシュ大統領は、2007年の年頭教書で、2017年までに、バイオ燃料を5倍に増やすと宣言した。環境問題と結び付けて民主党多数の米議会へのリップサービスとの冷めた見方もあるが、果たしてバイオ燃料がすんなり米国でも受け入れられるかどうかについては意見が分かれているようだ。
1月29付のWSJ紙は、バイオ燃料はじめ代替燃料をめぐる様々な問題点を指摘している。
第1に、お金をかけた割に身入りが少ない。エタノールへのとうもろこしからの転換が一挙に進み、その結果、コーン相場が暴騰した。コーン相場はブッシエル2ドルが2年間で4ドルを越えた。一方、エタノール相場は、まるで裏返しで、バレル2ドルから4ドルまで上げた後現在再び2ドルまで急落している。
第2に、バイオ燃料への転換で、作付け面積が増え、水不足、土地不足を起している。さらに、食料や飼料用の農作物相場が急騰した結果、輸入できない国が出てきた。原油相場が、バレル45~50ドルで安定すれば、バイオ燃料への投資が、2000年のドットコム投資の反動でITバブルが崩壊した、同じ徹を踏む怖れがあるとの見方も指摘している。
その他、水や土地資源に影響が少ない、太陽や風力を活用したエネルギー源への移行が指摘できる。さらに、インドではjatophaから食物油の生産が盛んになってきた。このような植物は痩せた土地でも問題なく成長するため今後栽培が増える。
1月29日、NY原油先物相場は、バレル56ドルを抜けなったことから失望売りが出て反落バレル54.64ドルで取引された。目先の原油相場はさておき、バイオ燃料に対する投資熱は今後の原油相場の動静に大きく影響されることだけははっきりしている。
いまのところ原油相場がこのままずるずると値下がりを続けるとの見方は専門家の間でも少ない。その根拠の第一に、中国の存在を指摘する声が多いことだ。
中国は2006年のGDP伸び率が10.6%と発表した。2008年オリンピックを控えて2007年も2桁成長が続く。特に自動車生産が前年比15%増820万台を超える。さらに、戦略原油備蓄に伴う輸入が上乗せされる。中国は4箇所で備蓄基地を建設中であるが、年内に全て完成するため、輸入に占める備蓄分の比率が現在の2%が10%を占めるとの見方が多い。
中国は50ドル原油を絶好の買い場と心得ているようだ。原油輸入量が原油相場に見事に連動している。その一方で、コーンからのエタノールへのバイオ燃料への布石も打っていると伝えられる。美しい国日本も結構だが、石油資源外交ゼロの国の行く末が心配だ。(了)
1月29付のWSJ紙は、バイオ燃料はじめ代替燃料をめぐる様々な問題点を指摘している。
第1に、お金をかけた割に身入りが少ない。エタノールへのとうもろこしからの転換が一挙に進み、その結果、コーン相場が暴騰した。コーン相場はブッシエル2ドルが2年間で4ドルを越えた。一方、エタノール相場は、まるで裏返しで、バレル2ドルから4ドルまで上げた後現在再び2ドルまで急落している。
第2に、バイオ燃料への転換で、作付け面積が増え、水不足、土地不足を起している。さらに、食料や飼料用の農作物相場が急騰した結果、輸入できない国が出てきた。原油相場が、バレル45~50ドルで安定すれば、バイオ燃料への投資が、2000年のドットコム投資の反動でITバブルが崩壊した、同じ徹を踏む怖れがあるとの見方も指摘している。
その他、水や土地資源に影響が少ない、太陽や風力を活用したエネルギー源への移行が指摘できる。さらに、インドではjatophaから食物油の生産が盛んになってきた。このような植物は痩せた土地でも問題なく成長するため今後栽培が増える。
1月29日、NY原油先物相場は、バレル56ドルを抜けなったことから失望売りが出て反落バレル54.64ドルで取引された。目先の原油相場はさておき、バイオ燃料に対する投資熱は今後の原油相場の動静に大きく影響されることだけははっきりしている。
いまのところ原油相場がこのままずるずると値下がりを続けるとの見方は専門家の間でも少ない。その根拠の第一に、中国の存在を指摘する声が多いことだ。
中国は2006年のGDP伸び率が10.6%と発表した。2008年オリンピックを控えて2007年も2桁成長が続く。特に自動車生産が前年比15%増820万台を超える。さらに、戦略原油備蓄に伴う輸入が上乗せされる。中国は4箇所で備蓄基地を建設中であるが、年内に全て完成するため、輸入に占める備蓄分の比率が現在の2%が10%を占めるとの見方が多い。
中国は50ドル原油を絶好の買い場と心得ているようだ。原油輸入量が原油相場に見事に連動している。その一方で、コーンからのエタノールへのバイオ燃料への布石も打っていると伝えられる。美しい国日本も結構だが、石油資源外交ゼロの国の行く末が心配だ。(了)