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サウジ高官の減産発言でNY原油一時57ドルー学校で教えてくれない経済学

2007-01-31 07:48:37 | 経済学
NY原油先物市場で、1月30日、WTI相場が、一時、バレル57.05ドルまで急騰、結局バレル56.84ドル、前日比2.83ドル、5%近く上げて取引を終了した。

原油相場急反発は、サウジアラビア高官が、2月1日から158,000バレル/日の追加減産を実施するとの発言が引き金となった。暖房油消費の80%を占める米北東部への寒波襲来による在庫減少を材料に、天然ガス相場が前日比11%急騰したことも原油相場を押し上げた。

ただ、原油先物相場がこのまま上昇を続けるかどうかは今のところ不透明なようで、OPECが何処まで足並みを揃えて減産を履行できるかが鍵を握っていると見られている。

その一方で、中国と米国のそれぞれの戦略備蓄原油数量をめぐって論議が白熱化してきていることも今後の原油相場を占うひとつの指標となるかもしれない。

WSJ紙によれば、米国の備蓄原油を、現在の7億2,700万バレルから、2027年までに15億バレルまで倍増させるとブッシュ大統領は先の年頭教書で宣言した。一方、中国は石油備蓄数量を2006年末で2,400万バレルまで拡大したが逐次増やし2007年末までに能力を6,400万バレルまで拡大すると伝えられる。

IEA(国際エネルギー機関)も中国と緊密な連携をとり備蓄の動きを正確にウオッチする準備を始めたようだ。米中が備蓄を増やすと20万から30万バレル/日のマーケットが生まれることから新たな需要要因となるであろう。

日本ではこのところの原油相場の下落を受けて、電気ガス料金の引き下げが発表されている。それはそれなりに結構なことである。しかし、「のど元過ぎれば熱さ忘れる」忘れっぽい日本人の国民性の常、中国やインドでは景気拡大が続いており、世界的な原油需給の構造は基本的には何ひとつ変わっていないことだけは留意しておいて欲しい。

2006年7月にバレル77ドルの高値をつけたあと、ヘッジファンドに代表される短期の投機資金が原油や銅に代表される商品相場から撤退したことが厳しい下げを演出した。したたかな中国はここを買い場と備蓄原油を買い増ししていたことが輸入統計が裏付けている。

昨日のサウジ高官発言をOPECが本気で減産を履行するとのシグナルとマーケットが受け取れば、餌場と見て水鳥は再び舞い戻ってくるに違いない。金利差から来る円安も無視できない。100%近くを輸入に依存している日本という国の姿を忘れないことだろう。(了)

江嵜企画代表・Ken



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