米中戦略対話で、米国の石炭排気ガス浄化技術の中国への供与と中国が民間航空機の発着便数を米国に対して増やした。しかし、他に具体的な成果を上げることなく終わった。特に、人民元切り上げで進展を見なかったことを受けて、米議会に、27.5%の報復関税の法案を通すと議員がいきまいていると、5月24日付けのWSJ紙が紹介している。
5月26日、WSJ紙は、米中間の経済問題に絞り、貿易、金融、エネルギーなどについて
紹介している。要旨は以下のとおりである。
まず貿易関係。2006年、中国は米国へ、552億ドル輸出、米国は中国から2,878ドル輸入した。米国の貿易赤字は、米GDPの約9%、2,500億ドル、この内中国は25%強占める。
米国の対中輸入の80%は、繊維、玩具、家庭用品など消費材が占める。特にオモチヤは米国市場の80%、履物とテレビなどの家電製品は共に50%を占める。
中国品の輸入により、関連の産業の雇用は180万人失われた。しかし、米国の雇用は堅調で、失業率は4.5%へむしろ低下している。安価な中国品輸入により、非熟練労働者の賃金上昇が抑えられている。その一方、消費者物価を2002年対比0.5%引き下げた。
次に金融関係。貿易で稼いだ外貨で貯めた外貨保有高は1兆2000億ドルに上る。このうち米国財務省証券は、4,200億ドル、米国の借金の20%をカバーして米国に貢献している。
米国政府は、人民元を切り上げれば貿易赤字は縮小すると見ている。人民元はドルに対して8%上昇しているが、通貨の変動幅を0.5%の幅にコントロールしている。エコノミストの試算では、貿易収支改善のためには、人民元切り上げ幅は最低40%必要としている。
中国への米企業の進出状況は、中国政府の発表では、51,000社ある。中国の対米輸出額の63%は米国籍の企業に関係している。米国の対中政策の歯切れの悪さの原因となっている。
エネルギー関連。15年前、中国は石油を自国でまかなっていた。現在、中国の石油需要の50%は輸入である。一方、米国は消費の60%を輸入している。米中合計で世界の石油供給の35%を消費している。米中で石油消費にブレーキがかからないと原油は値下がりしない。
その他、中国の人口は、毎年800万人増加している。中国は個人資産の50%を預金している。米国は1%以下である。中国のインターネット人口は、1億8,200万あり、2010年までに1億3,400万に達して米国を抜くと予測される。
一連の米中間のゆがみやひずみは当然のことながら、日本にも影響してくるだろう。(了)
江嵜企画代表・Ken
5月26日、WSJ紙は、米中間の経済問題に絞り、貿易、金融、エネルギーなどについて
紹介している。要旨は以下のとおりである。
まず貿易関係。2006年、中国は米国へ、552億ドル輸出、米国は中国から2,878ドル輸入した。米国の貿易赤字は、米GDPの約9%、2,500億ドル、この内中国は25%強占める。
米国の対中輸入の80%は、繊維、玩具、家庭用品など消費材が占める。特にオモチヤは米国市場の80%、履物とテレビなどの家電製品は共に50%を占める。
中国品の輸入により、関連の産業の雇用は180万人失われた。しかし、米国の雇用は堅調で、失業率は4.5%へむしろ低下している。安価な中国品輸入により、非熟練労働者の賃金上昇が抑えられている。その一方、消費者物価を2002年対比0.5%引き下げた。
次に金融関係。貿易で稼いだ外貨で貯めた外貨保有高は1兆2000億ドルに上る。このうち米国財務省証券は、4,200億ドル、米国の借金の20%をカバーして米国に貢献している。
米国政府は、人民元を切り上げれば貿易赤字は縮小すると見ている。人民元はドルに対して8%上昇しているが、通貨の変動幅を0.5%の幅にコントロールしている。エコノミストの試算では、貿易収支改善のためには、人民元切り上げ幅は最低40%必要としている。
中国への米企業の進出状況は、中国政府の発表では、51,000社ある。中国の対米輸出額の63%は米国籍の企業に関係している。米国の対中政策の歯切れの悪さの原因となっている。
エネルギー関連。15年前、中国は石油を自国でまかなっていた。現在、中国の石油需要の50%は輸入である。一方、米国は消費の60%を輸入している。米中合計で世界の石油供給の35%を消費している。米中で石油消費にブレーキがかからないと原油は値下がりしない。
その他、中国の人口は、毎年800万人増加している。中国は個人資産の50%を預金している。米国は1%以下である。中国のインターネット人口は、1億8,200万あり、2010年までに1億3,400万に達して米国を抜くと予測される。
一連の米中間のゆがみやひずみは当然のことながら、日本にも影響してくるだろう。(了)
江嵜企画代表・Ken