からだの一ヶ所でも、弱いところがあると、病気はなかなか治り難い。経済もからだの仕組みと同じで、一ヶ所サブプライムローン問題をかかえていることで影響が出てきた。
このところの米国株式市場の不安定な動きも、サブプライムローン焦げ付き問題に端を発している。8月3日、NY株式市場では、ベア・スターンズ証券が、S&P社から警告を受けたあと、株価が8%近く急落したことを嫌気して、NYダウは、前日比281ドル、2.1%下げ、13,181ドルで取引を終了した。
NY原油先物《WTI》も、株価下落に反応し、更なる株価下落が、原油需要を引き下げるとの思惑から、前日比バレル1.47ドル、1.9%、値下がりし、バレル75.39ドルで取引を終了した。つい先日80ドル目前とはやしていた。不安心理から相場は一気に冷え込んだ。
米労働省は、8月3日、7月の米雇用数が、5月188,000人増、6月126,000人増のあと92,000人増と発表した。7月の失業率は、4.6%へ、4月,5月,6月と4.5%から0.1%ながら増加した。雇用数は景気指標の羅針盤として有効だから、株価は雇用統計に敏感に反応した。
NY外国為替市場においても、米雇用統計が、エコノミストの予想の13万増を下回ったことを嫌気して、ドルが売られた。1ユーロ=1.3719ドル、1ドル=118.99円で取引された。為替市場では、金融不安により敏感に反応する。サブプライムローン焦げ付き問題がさらに悪化すれば、株価下落、ひいては、ドル売りを刺激するとの見方が多い。
そもそもサブ・プライム(Sub・Prime)とは、プライム(優遇)のサブ(下)という意味である。返済能力の高い人には、優遇レートが適用される。返済能力が低い人には、お金を貸す立場からは、当然高い金利でローンを設定する。支払い能力の低い人に高い金利が適用されるから、金利を払えず、焦げ付きが増える悪循環が当然起こる。
グリーンスパン前FRB議長は、短期の政策金利を1.0%まで引き下げ、むしろ住宅ブームをテコに、9:11テロ事件以降の米国経済を救った。その後、米国金利は0.25%づつ階段を一歩一歩上りながら5.25%まで戻し、ここ一年横這いで推移している。
サブプライムローン金利は、焦げ付き問題多発から、10%台から13%強まで引き上げた。銀行は、値上がりを続ける住宅ブームに踊り、返済能力の低い人にも貸し出しを増やした。借りる方も住宅価格が上がるからローンを組み直しては、借り続けた。その咎めが出た。
相場はひとの心の鏡である。不安が不安を呼び、行き過ぎる傾向が強い。10年前のLTCM破綻の再来はないとの見方が一般的だが、用心するに越したことはないだろう。(了)
このところの米国株式市場の不安定な動きも、サブプライムローン焦げ付き問題に端を発している。8月3日、NY株式市場では、ベア・スターンズ証券が、S&P社から警告を受けたあと、株価が8%近く急落したことを嫌気して、NYダウは、前日比281ドル、2.1%下げ、13,181ドルで取引を終了した。
NY原油先物《WTI》も、株価下落に反応し、更なる株価下落が、原油需要を引き下げるとの思惑から、前日比バレル1.47ドル、1.9%、値下がりし、バレル75.39ドルで取引を終了した。つい先日80ドル目前とはやしていた。不安心理から相場は一気に冷え込んだ。
米労働省は、8月3日、7月の米雇用数が、5月188,000人増、6月126,000人増のあと92,000人増と発表した。7月の失業率は、4.6%へ、4月,5月,6月と4.5%から0.1%ながら増加した。雇用数は景気指標の羅針盤として有効だから、株価は雇用統計に敏感に反応した。
NY外国為替市場においても、米雇用統計が、エコノミストの予想の13万増を下回ったことを嫌気して、ドルが売られた。1ユーロ=1.3719ドル、1ドル=118.99円で取引された。為替市場では、金融不安により敏感に反応する。サブプライムローン焦げ付き問題がさらに悪化すれば、株価下落、ひいては、ドル売りを刺激するとの見方が多い。
そもそもサブ・プライム(Sub・Prime)とは、プライム(優遇)のサブ(下)という意味である。返済能力の高い人には、優遇レートが適用される。返済能力が低い人には、お金を貸す立場からは、当然高い金利でローンを設定する。支払い能力の低い人に高い金利が適用されるから、金利を払えず、焦げ付きが増える悪循環が当然起こる。
グリーンスパン前FRB議長は、短期の政策金利を1.0%まで引き下げ、むしろ住宅ブームをテコに、9:11テロ事件以降の米国経済を救った。その後、米国金利は0.25%づつ階段を一歩一歩上りながら5.25%まで戻し、ここ一年横這いで推移している。
サブプライムローン金利は、焦げ付き問題多発から、10%台から13%強まで引き上げた。銀行は、値上がりを続ける住宅ブームに踊り、返済能力の低い人にも貸し出しを増やした。借りる方も住宅価格が上がるからローンを組み直しては、借り続けた。その咎めが出た。
相場はひとの心の鏡である。不安が不安を呼び、行き過ぎる傾向が強い。10年前のLTCM破綻の再来はないとの見方が一般的だが、用心するに越したことはないだろう。(了)