
桂文珍他春秋落語会
江嵜企画代表・Ken
桂文珍・春秋落語会が、神戸酒心館ホールで開かれ、家族と出かけた。文珍人気の高まりであろう、2月末には、ひとり3000円の前売り券は完売したそうだ。200人以上の落語ファンが、文珍さんのニ席の落語を、一番弟子の桂楽珍、ニ番弟子の林うさぎで前後にはさんだ約2時間を堪能した。会場の様子をいつものようにスケッチした。
中庭にある名物の枝垂れ桜がほぼ満開で、それがライトアップされてより妖艶にさえ見えた。生憎の雨模様だったが、さくらをバックに、会場を訪れた多くのお客さんが、記念撮影に興じていた。
文珍さんによれば、南は奄美大島から全国を一年以上かけて県庁所在地に町や村を加えて78か所を巡った。その集大成としての独演会を4月6日から10日間、1,400人入る国立劇場で開く予定です。前売り券はお陰さんで完売しました。有難いことです、とニコニコ顔で話していた。
ただ、疲れからか、それとも、この日の演題が落ち着いた古典落語だったせいか、この日の文珍さんにはいつものはじけんばかりの元気さを感じなかったのが、ちょっぴり気懸りだった。
前座をニ番弟子の林うさぎさんが務めた。彼は弟子入りして25年になるそうだ。客二人しかいない高座を経験した時の苦労話を披露していた。名前の通った落語家は、客の方がはじめから笑うために来ている。ところが知らない落語家になると、なかなか笑ってくれない。実につらいもんでっせ、と話していた。
彼の奥さんは元英会話教師で、確かカナダ人と言っていた。家ではうさぎではない。ハニ―と呼ばれている。息子は史温と書く。役所の戸籍係に届けた時、なんと読むのかと聞かれた。ショーンといったら、うちの家の犬の名前と同じだと言われた。ウサギの子供が犬です、と言って、笑いを取っていた。
一番弟子の桂楽珍さんは徳の島出である。子供のころはお相撲さんになりたかった。弟子入りして27年になると話していた。息子さんが相撲取りになって朝青竜の付け人を以前していた。朝青竜は、人を射すく鋭い目つきをしていたと話していた。この日の演題は奄美大島出身の相撲取りの話で、ご本人自身、相撲取りになりたかったせいもあってか、迫真の演技は見ごたえがあった。
真打ちの文珍さんは古典落語ニ席を演じた。はじめは4月1日の入社式にあやかってであろう、ある「口入り屋(今で言う人材センター)」が雇う「おなごしさん(今で言うお手伝いさん)」の話を、丁稚、番頭が絡む艶話を軽妙に演じた。
落語にはプロジェクターも配布される資料もない。20分、30分を話術と中身で勝負しなければならない。新入社員に5分でも10分でもいい。原稿なしで一つのテーマについて、喋らせてみたらどうか。人前で喋ることがいかに難しいかを知らしめ、日本人が最も苦手とするプレゼンテーションの訓練目的に、新入社員教育の一環として、組み込んで欲しいと常々思う次第である。(了)