路端の花
江嵜企画代表・Ken
道すがらご近所の玄関前に咲く花が目に飛び込んできた。私を今、描けと迫るのである。花達と言った方がいいかもしれない。花だけではない。つぼみまでがまるで首をもたげて来て、描け、描けと大合唱するのには参った。逃げるわけにいかなくなりスケッチした。
申しわけないが、なんという名の花なのか知らない。スケッチをご覧くださった方で、ご存知なら是非、花の名前を教えていただきたい。
神戸は久しぶりで春らしい陽気になった。遠出は大変だからと近場でお花見でもと、家族と出かけ、くだんの花達とのご対面となった。電柱の住所表示には住吉本町二丁目とあった。住吉キリスト教会が進行方向に向かって左手にある。2,3分北へ歩くと甲南学園同窓会の平尾記念館がある閑静な住宅街である。
平尾記念館の前を東西に山手幹線が走る。軽い上りをまた数分歩くと、香雪美術館が左に見える。日曜日とぽかぽか陽気も手伝って、開催中の日本画家、堀文子展に大勢訪れていた。美術館に隣接する弓弦羽神社境内では町内会のイベントであろうか結構にぎわっていた。境内に甘酒、焼き芋、その他カレーライスなどテントを張って呼び込みをしていた。
数分北に向かって歩くと阪急電車の御影駅がある。ガードをくぐるとほどなく深田池が左手に見える。車いすに乗った十数人のお年寄りが介護の人に付き添われて桜見物していた。おそらく近くの老人健康施設の一行と思われる。こういう場面に出くわすと、ついつい、なくなった父母のことを思い出してつらい。
池を過ぎ、右折して少し坂を上ると武田薬品創業者のお屋敷がある。名物の桜が今を盛りと咲いていた。Uターンして家路につく。人混みを避けての長閑な桜見物を満喫した。杖をつかずに結構な坂道を上り下り出来た。無事歩けることがいかに幸せなことか。歩けることの幸せに、改めて感謝した次第である。(了)