CNBC電子版(28日付け)のロイター電記事によれば、米財務省は、中国の米国債保有残高を、2010年末時点で1.16兆ドルへ2月15日予測数字から2,684億ドル上方修正した。同時に米財務省は、英国の12月末の米国債保有残高を2,721億ドル下方修正した。ほぼ同額が相殺された。かねてから指摘されていた中国の英国ブローカー経由の米国債取引の存在が今回裏付けられた格好だ。
中国は、人民元の急激な切り上げを嫌い、人民元売り・ドル買いを一貫して継続、米ドルをひたすら貯め込んで来たことが中国の米国債1兆ドル突破の背景である。中国のインフレ対策に人民元切り上げが必要だと中国人ストラテジストは指摘したと先のロイター電の記事で指摘していた。ただ、中国がドル買いにブレーキをかければ、ドルは暴落する。
在NY,ドイツ銀行、為替ストラテジスト、AlanRuskin氏は「中国が米国の財政赤字ファイナンスに一段と踏み込んだ(commitment)ことを意味する。その結果、米国は中国に益々拘束されることになろう。」と語ったとロイター電は紹介している。中国に首根っこを抑えられた米国。巨額の米ドルを抱えた中国。米中がひずみを抱えたまま進めば、マグマが増殖し、バランスを取るためにエネルギー放出の作用が働き、地震が起こるだろう。
一方、3月1日のNY株式市場は、中東情勢の先行き不透明から、NY原油(WTI)先物相場が一時バレル100.63ドルへ反発、重質油ブレント相場も116ドルを突破した。これを嫌気してNYダウは、先週末比168ドル安の12,058ドルで取引を終了した。ナスダック、S&P500種共に値下がりした。
この日発表された2月の米サプライマネジメント協会(ISM)米製造業景況感指数が2004年5月来の高水準を記録したが無視された。バ―ナンキ米FRB議長が原油高など商品市況高騰に言及したことも相場の下げをリードしたなどと今朝、ブルームバーグ(NHK/BS)に出演した専門家は話していた。
3月1日付けのWSJ紙日本版にTailrisk(テイルリスク)(発生する確率は低いが発生すると巨額の損出となるリスク)なる言葉を紹介する金融専門誌バロンズの記事が出ていた。「全ての耳目はサウジアラビアに集まっている。この王国が信心深い支配層と市民の不満を和らげる上で再び手腕を発揮すれば、原油場相場が下落する可能性は高い。サウジが沈静化すれば万事OKだ。」と書いていた。
サウジに波乱が起こる確率は極めて低い。しかし、発生すれば損害は巨額となる。原油相場WTI100ドル復帰とNYダウ168ドル下げは何をシグナルしているのだろうか。
米ドルが中国国内で莫大な量を伴って着実に積み上がって来ている。ドル暴落は中国に損害をもたらすからあり得ない選択である。サウジ同様、ドル暴落は中国にとって自己矛盾であり国益に反する。中国が米ドルを放棄する確率は極めて薄い。
からだのしくみと地震のメカニズムは非常に似ている。一言でいえばゆがみが内部で起これば、ゆがみを戻そうとする力が働く。テイルリスクへの備えが今こそ求められる。(了)
中国は、人民元の急激な切り上げを嫌い、人民元売り・ドル買いを一貫して継続、米ドルをひたすら貯め込んで来たことが中国の米国債1兆ドル突破の背景である。中国のインフレ対策に人民元切り上げが必要だと中国人ストラテジストは指摘したと先のロイター電の記事で指摘していた。ただ、中国がドル買いにブレーキをかければ、ドルは暴落する。
在NY,ドイツ銀行、為替ストラテジスト、AlanRuskin氏は「中国が米国の財政赤字ファイナンスに一段と踏み込んだ(commitment)ことを意味する。その結果、米国は中国に益々拘束されることになろう。」と語ったとロイター電は紹介している。中国に首根っこを抑えられた米国。巨額の米ドルを抱えた中国。米中がひずみを抱えたまま進めば、マグマが増殖し、バランスを取るためにエネルギー放出の作用が働き、地震が起こるだろう。
一方、3月1日のNY株式市場は、中東情勢の先行き不透明から、NY原油(WTI)先物相場が一時バレル100.63ドルへ反発、重質油ブレント相場も116ドルを突破した。これを嫌気してNYダウは、先週末比168ドル安の12,058ドルで取引を終了した。ナスダック、S&P500種共に値下がりした。
この日発表された2月の米サプライマネジメント協会(ISM)米製造業景況感指数が2004年5月来の高水準を記録したが無視された。バ―ナンキ米FRB議長が原油高など商品市況高騰に言及したことも相場の下げをリードしたなどと今朝、ブルームバーグ(NHK/BS)に出演した専門家は話していた。
3月1日付けのWSJ紙日本版にTailrisk(テイルリスク)(発生する確率は低いが発生すると巨額の損出となるリスク)なる言葉を紹介する金融専門誌バロンズの記事が出ていた。「全ての耳目はサウジアラビアに集まっている。この王国が信心深い支配層と市民の不満を和らげる上で再び手腕を発揮すれば、原油場相場が下落する可能性は高い。サウジが沈静化すれば万事OKだ。」と書いていた。
サウジに波乱が起こる確率は極めて低い。しかし、発生すれば損害は巨額となる。原油相場WTI100ドル復帰とNYダウ168ドル下げは何をシグナルしているのだろうか。
米ドルが中国国内で莫大な量を伴って着実に積み上がって来ている。ドル暴落は中国に損害をもたらすからあり得ない選択である。サウジ同様、ドル暴落は中国にとって自己矛盾であり国益に反する。中国が米ドルを放棄する確率は極めて薄い。
からだのしくみと地震のメカニズムは非常に似ている。一言でいえばゆがみが内部で起これば、ゆがみを戻そうとする力が働く。テイルリスクへの備えが今こそ求められる。(了)